普通の高校に女子限定クラスができた理由 136
由梨花は隣の優梨子をちらりと見た。
"この子は、一歩踏み出したんだ"
黙っているけど、心なしか、表情がやや明るいような気がした。
由梨花はもう一度昨晩の風呂を思い出していた。
(運動部の皆に背中を押される形で大井くんが腹を決め、優梨子ちゃんと…………セックス、したんだよな。船山さんも澤田さんも常盤さん、柘植さん、皆楽しんでる雰囲気があった。私にもああやってできたら、よかったのかなぁ…)
優梨子の隣では舞もカレーを食べながら男子と会話している。舞は由梨花と同じく、特には進展はしていない、はず。
それでも、昨日までより男子と気軽に話しているように、由梨花には見えた。
"あとで、聞いてみよう"
でも、なんと言って聞いたらいいのか、分からなかった。
"人のことより、私は、どうしたいんだろう?"
「悩んでるみたいだね」
「あっ……う、うん」
何か考えすぎているのが顔に出たのか、恋の方が由梨花にそう言ってきた。
「私も同じだよ。でも考え過ぎるのも良くない。自然に、一歩ずつ進んでいけばいいと思う」
「そうだね。ありがとう」
由梨花はもうしばらく恋の方を見ていると、恋はさっきより対面の光一と話し始めたようだった。
"そう、私も、一歩ずつでも、進めばいい"
由梨花は立ち上がって、このテーブルの端の男子の近くに移動した。