普通の高校に女子限定クラスができた理由 131
ちなみたちの班は結局夜に男女一緒の部屋に集まったものの、深いところまでは進展しなかった組である。そのような班も少なからず存在していた。
「わかりあえたらあとはすんなりと行くもんだよ」
「そうかなぁ…」
朝食の席でちなみは隣に座った優梨子にそう言われた。
昨晩、ちなみ達の部屋には、やはり剛達が来ていた。
もちろん、キスした同士、ちょっと意識したのだが、ちなみは微妙だった。その後剛とキスした透子がいたから。
UNOで、ちなみと透子は剛を挟んで座った。
それでも、そういう複雑なことは無い愛華や茜も、修司も寿明も、互いに意識しているのは伝わるのだけど、どこか距離を置いた感じだった。
(みんなどうしてうまくいったんだろうな、でもそんな急ぐべきでもないよね)
ちなみはそう考えていた。
周りが進展したからと言って自分が焦る必要はないんだと言い聞かせた。
今日の合宿は全体での研修。
生徒たちから見て泉はイキイキして見えたし、奥村は険しさが消えて表情が柔らかく映っていた。
クラスごとにバスに乗る。
8組はもちろん女子だけで乗る
「みなさん、よく眠れましたか?」
バスガイドのこの言葉には、クラス半分くらいの人が肯定の声を上げた。
恋は、手を上げる等には関心を持たず、窓際の席で外を眺めていた。
「はい、レンちゃーん」
「ん?」
隣に座る愛が恋を呼び、彼女がこちらを振り向いた瞬間、細長いスティック状のスナック菓子を突き出す。
「はい、あーん」
「おおう」
「いつもと変わんないねぇ、レンちゃんは」
「そんな1日くらいじゃね。でも、なんとなくみんなの雰囲気は変わったよね」