普通の高校に女子限定クラスができた理由 117
「椎葉さん、天野さんもいたんだ…」
雅人がお湯に浸かる2人を見る。
舞はまだ胸をタオルで隠して不安そうな表情で入ってくる男子たちを見ていた。
「天野さんもこっち来なよ」
智里が呼びかけた。
「大丈夫、なの?」
舞が小さな声で尋ねる。
「大丈夫!舞ちゃんならきっと…」
優梨子が舞のいる場所まで行って、舞にもみんなと交流するよう促した。
「お待たせ!」
あさなと亜優が脱衣室に入ってきて一気に服を脱いで浴室に来た。この時点で桃子と智里はこの時点ではもう服は全部脱いで浴室内にいるので、洗い場で男子が揃ってタオルで下半身を隠しているのを見てあさなは
「男子、なんでみんな隠してるの?」
と呼びかけた。
あさなの言葉に男子一同は顔を合わせ、何か戸惑いの様子と表情を浮かべる。
「なんか、まだ受け入れられてないみたいで」
「ほんとに入って良かったの?これ」
「いざ初めて会う子の前だと、緊張するよな…」
そんな男子を見て、亜優はため息を一つついて、言い放つ。
「借りてきた猫みたいな風になっちゃダメー。今日みんな散々私たちにケダモノになってくれたのに」
「け、ケダモノ!?」
舞がさらにビクビク震えだす。
「亜優、言い方にもほどがある」
流石の智里も亜優をたしなめた。
崇央も反論する。
「何だよ、俺たちばっかりケダモノ扱い。お前だって、外に聞こえちゃうだろ、ってくらいおっきい声で『気持ちいいー』『イクー』とかいっぱい叫んで。俺たちがケダモノならお前たちもケダモノだよな」
「そうかもねー、お互い様かもねー」
それに応えるのはあさな。
「運動部は開放的っていうか、おおらかって言うか」
優梨子が笑う。
「身体でつながって、いずれ心でも繋がれるはずだよ」
智里がそう言って、お湯に浸かる。
その後ろに知宏がやってきて、智里をそっと抱きしめた。