普通の高校に女子限定クラスができた理由 115
「ちょっと部屋に戻りまーす」
亜優が身を翻して智里と桃子を促す。
「お風呂の準備のし直し。それと…」
亜優がニヤッ、と笑う。
智里と桃子も、亜優の狙いを理解した。
「楽しむのもいいけど、ほどほどにな」
雅人はため息をついて言った。
亜優は部屋に戻る。部屋には今も知宏、有紀、勇人、崇央、健人がいてまったりしていた。あさなは有紀と勇人の間で横になっている。
「ねえ、みんなでお風呂一緒に入れるよ!入らない?」
桃子は風呂道具をもってすぐに女子風呂に向かって、すでに入っている人がいるかどうか確認した。
「おお、いいじゃん。行こう行こう」
「いや待てよ…他の女の子がいたら…」
健人はすぐに乗り気になるが、崇央がそれを制止させる。
「今の時間はうちのクラスの子たちが入ってるはず。みんなには私たちが説明するから」
「興味ある子は混ざっちゃっても大丈夫かな?」
「もちろん!」
智里が言うと健人が即座に反応する。
その頃女子風呂には天野舞、椎葉由梨花、水口優梨子の3人がまったりお湯に浸かっていた。仲の良い3人組で、いずれも物静かなおとなしいタイプである。
そこで、ガラリと扉が開き、桃子が服を着て立っていた。三人は一斉に桃子を見る。
桃子は、三人に、隣で男の先生方が楽しんでいるから、私たちも男子を呼んで楽しんじゃおうと思うけどどう?というようなことを言った。
それを聞いて舞は両手で胸を隠し、由梨花は浴槽の壁まで後ずさった。
しかし、優梨子は静かに言った。
「こういう形で、こういう日が来たんだ…気持ち悪いオッサンじゃなくて、よかった…でも、それだったら、呼びたい男子、いるの」
優梨子がニコリと微笑んだ。
茶道部の優梨子は入部して数日たったある日、茶道部の顧問と肌を重ねた。優梨子にとっての初体験だった。その時に関しては、優梨子にとってあまりいい思い出ではなかった。
「うんうん、そっちも呼びたい男子がいたら呼んじゃってよ」
「わかった」
優梨子がいったん浴室を出て行く。
舞と由梨花はまだ不安そうな表情で桃子の立つ入り口を見ている。
知宏と崇央が、そこから顔をのぞかせた。