普通の高校に女子限定クラスができた理由 106
「奥村先生、内田先生」
雅人が声のする方を見ると、凛音と柚月がタオルと着替えを持って立っていた。
「あ、これからお風呂行くなら、本来の女子風呂に行って」
紗理奈の言葉を遮るように凛音が口を開く。
「私たち、さっきの話、聞こえちゃったんです。泉先生、一人で、私たちのために、行っちゃったんですね」
「先生、かわいそう」
柚月が続ける。
雅人と紗理奈は言葉もない。
「でも、ちょっと、思いついたんです」
凛音のこの言葉に、他の三人が注目する。
「奥村先生、その入った人たちって何人ですか?」
「3人だ」
凛音はちょっとニヤッとした。
「こっちも人数を増やせば、泉先生の負担をなくして、私たちの負担も最小限で、その人たちの性欲を満たせるんじゃないかと思ったんです」
「君たち、いったい何を考えているんだ?」
雅人は困惑した表情で凛音に言う。
「泉先生、お昼、私たちがグループ研修やってた時もあの人たちの相手してましたよね?それなのに、またでは大変でしょう」
「だから、私たちも協力します。そうすれば負担は減ります」
柚月も続く。
「君たち気は確かか?」
「みんなは犠牲にしたくないのに…」
雅人は狼狽え、泉は心配そうに彼女たちに言う。
「私が思ったのは、ほんとに、私たちの負担も最小限になる方法なんです…泉先生、ちょっといいですか?」
凛音は泉に耳打ちする。
「うーん、感心は、しないけど、言いたいことは、わかる…あと、協力してくれる人増やせるのかな」
「先生のため、って言えば、きっと大丈夫です!」
凛音がニコッと笑う。
泉も察したのか微笑んだ。
「こんな私のためにみんなが身体を張ってくれるのは…正直申し訳ないけど、うん。ありがと」
「みんな先生のこと大好きだから」
柚月も言う。そう言いながら、連絡を回す。
「私もいるから」
紗理奈が泉の肩に手を回す。
泉はコクン、と頷いた。
柚月の連絡を受けて、かすみと優、さらに須藤りんね、村沢エリカの4人が集まる。
そうして、まずは風呂に行く準備ができている生徒6人から男性教師たちが入る風呂に、凛音が先頭に立って入っていく。
三人の男性教師は、みな椅子に座って体を洗っていた。
「先生方、私たちが、お背中流しましょう」
凛音は、思い切ってタオルは持ったまま、どこも隠すことなく男性教師達に近づいていく。
「ほう、自らとは、感心だね」
教頭の近くには凛音とエリカがついた。
「エリカは、ほんとに背中とか腕とかこすってればいいから」
凛音はその直前にエリカに耳打ちしていた。
「教頭先生〜おつかれさまですぅ。じゃあ、失礼しまーす」
凛音はわざとそんな口調でそう言い、前から、エリカは後ろから、教頭の肌を洗い始める。