スワッピング ハイスクール 76
「このバッグも買ってもらったの」
美香は、恵太も名前はちょっと知っている若者向けブランドのバッグを見せた。
「えっ、バッグは持ってるじゃん」
「女の子は、服に合わせてとか、いろいろバッグを変えたいのよ。恵ちゃん女心分かってないね」
「私、前に買ったもらったのはいつだったかなぁ〜」
鍋をセットし終えた優子は、近くに来て、剛の方を見ながら言った。
「そういえば、優子には暫く買ってあげて無かったけど・・・」
「でしょうね。ああ、私も新しいバッグが欲しいけど・・・、恵太くんに買って貰おうかな・・・」
優子さんがそう言うと、恵太に向かってウインクをした。
すると恵太が言った。
「解りました。優子さんの欲しいのを買ってあげます」
「ありがとう。楽しみにしてるね」
優子が鼻歌を歌いなが歓び始めたとき、恵美が恵太と美香に手紙を持って来た。
「パパ、ママ、たまき先生からパパとママに渡してって」
「たまきさんから?何だろう・・・」
恵美から手紙の入った封筒を受け取った恵太は、その場で封筒を開けた。
封筒の中には、手紙と写真が入っていた。
「前略 鈴木恵太さん、美香さん
おかげさまで、おなかの中に、新しい命を授かることができました…」
恵太は写真の一枚を見た。胎児のエコー写真だった。見てきたばかりのタツノオトシゴのような胎児よりももう少し大きいようだった。
「恵太さんの子供です。恵太さんの、そして協力してくれた美香さんのおかげです。あきらめかけていた私にとっては、夢のような話です。本当に、感謝の言葉もありません…」
「たまきさん、妊娠したんだ。よかった!」
剛がエコー写真をチラッと見て、言った。
恵太はさらに手紙を目で追った。
「あらためて御礼をしたいのと、あと、もしよかったら、私の友達も、助けてもらえたら、と思って、今度うちに来てもらえると、うれしいです」
「たまきさんの家、って…」
「確か、たまきさん、友達の女性だけでルームシェアしてるんだ」
今の世の中で妊娠経験のない成人の待遇は決して良いものではない。
子孫繁栄に貢献できなかった者には様々な制限がかかり、土地を持つことは認められずアパートやマンションといった集合住宅を借りて住むしかない。
たまき達のようにまだ可能性がある世代は数名で集まって暮らし男を誘い込み妊娠のチャンスを狙っているものも多いのだが、そんな彼女達の弱みにつけ込み乱暴なプレイを強要されがちで社会問題にもなっている。
「そのコードで、多分その部屋のブログが見られるぞ」
恵太は携帯端末を取りだし、手紙の右下に印字してあるコードをカメラで取り込んだ。ほどなく、そのブログのURLと、たまきにメッセージを送れるIDが、取り込まれた。
恵太はブログを開いた。表紙には、たまきでない、裸の二人の女性の写真があった。
「やっぱり、たまきさんは、妊娠したからあまりアピールしていないな」
画面を覗きこんだ剛が言った。
「この方々も、この地区の?」
「そう、俺たちの先輩でもある」