スワッピング ハイスクール 122
「この子は違うのですが」
レイナはリョウを見て付け加えた。
「その子は母親が優子なのかな?」
“佐伯剛さん?”と聞いた人の後ろ、湯船から上がってきた女性がそう言った。
「はい。おとう、いえ、父と母を知っているのですか?」
「ええ、あたしクラスメイトなんだ。若月舞夏っていうんだ」
「私は柔道部のマネージャーで、剛さんを知ってる。久武亜弥っていうの。2年生」
湯船から出てきた人と、レイナの目の前にいる人はそれぞれそう応えた。
「いつも父と母がお世話になっております」
レイナはお行儀良く舞夏と亜弥に挨拶をした。
「あら、これはご丁寧に」
「ちゃんと挨拶が出来るなんて、優子のしつけがいいみたいだね」
舞夏と亜弥は、レイナの挨拶に驚いていた。
「そういえば優子『娘はどこに行ってもお姉さんで』みたいに言ってたな」
「レイナちゃん、何年生?」
舞夏が思い出しながら言ったのを聞いて、亜弥はかがんで、目線をレイナに合わせて尋ねた。
「小学校2年生です」
「そう…優子さん、小六のときに生んだんだもんね。すごいなあ」
「いいえ、母が小四の時です。あたしが産まれたのは」
「あっ、ごめんなさい。そうだったね。わたしの1つ上の人だったね。でも、小四で妊娠と出産を経験するなんて本当に凄いね」
亜弥は、レイナに謝りながらも、優子のことを感心していた。
舞夏はさらにレイナに言った。
「じゃあ、あと二年経ったら、もうお母さんがレイナちゃんを妊娠していた年になるんだね」
それを聞いて、レイナは頬をおさえるような動作をして、その後自らのタテスジに手を触れた。
「そうですね。じゃあ、二年後には、ここに、男の人のおち○ち○が、入ってるかもしれない…のですね」
美香もはっと思った。その通りだ。その時には剛と優子は卒業しているからもう近くにはいないだろうが、自分たちが在学中、という近い将来に目の前の子供が『女』になるかもしれないのだ。
「そうよ」
「うーん、でもまわりのおとこのこってぜんぜんそんなかんじじゃなくて」
「そりゃあそうよ。誰もまだ『男』になっていないんだから」
レイナは美香の方を向いて言った。
「あたし、はじめては恵太お兄さんがいい、かもです」