スワッピング ハイスクール 11
ショッピングモール、と聞いて美香はかなり興味を引かれたようで、剛にいくつかの質問をした。
剛は最初は答えていたが、細かいことになってくると
「細かいことは、優子や亜美に訊いてみてくれ」と質問を断った。
恵太は、さっきから頭でちょっと計算して不思議に思ったことを訊いた。
「剛先輩、先輩はこの4月から3年生なのですよね」
「そうだ」
「それで、昭雄君が2歳、ということは、この寮に来る前に…そのう…できたお子さんなのですか?」
「そうだ。真琴は中学からの同級生だ。優子と、真琴と、真琴の旦那と、4人は結構仲良かったんだ。昭雄のこともあったし、みんな同じ高校に」
その昔、高校は偏差値で輪切りにされて、特定の2人が望んでも同じ高校に行くことは簡単ではなかった、という。
“いい高校に行って→いい大学に行って→いい会社に入って→一生安泰”っていうモデルがとっくの昔に崩れ、就職氷河期と呼ばれた時代を経て、こんにちでは、大多数の場合、就職はなんという大学を出た、などはまったく関係なくなった。
よって、なんという高校に行くか、を気にする人はほとんどいなくなり、一部の例外を除き高校は最低限のテストに合格点を取れば自由に選べるようになっている。
というわけで、現在では夫婦や友達どうしが簡単に同じ高校に来られる。
「中学から、その、スワッピング、していたのですか?」
「そうだ。君たちの中学校は無かったのか?…まあ、さっきの反応から見るとそうだろうな。お堅い中学だな」
レイナが行っている小学校の教育方針の話でも「…という学校もある」とあったように、基本的な方針
“少子化対策が重要である。そのために精通、初潮を迎えると妊娠、結婚”
ということさえ守れば、教育方針は結構学校ごとに任されている。
「当然中一の夫妻は少なかったからここのように1,2,3年生の夫婦が集まる、っていうことはなかった。それで飯島夫妻と同室だった」
「同室だったんですか」
「ああ、あの頃は若かったからサルの様にヤリまくりだったな。気がつくと他のクラスメイトも乱入してたり。まぁ、さすがに酷かったよ。」
ちなみに、結婚の条件である『妊娠』だが、『した、させた』相手と結婚しなければならないわけでは無い。
一夫多妻制は認められていないので『した、させた』あいてが既婚者の場合は結婚出来ない。
極端な話パートナーとの行為が無くても互いに誰か妊娠『した、させた』事があれば結婚できる。
「そうだったんですか…」
剛は一息入れて、続けた。
「うちの中学の寮は“婚約者”でも入れて、飯島は実はその枠だったんだ」
「婚約って、届け出るものだったんですか??」
「そうじゃない。まだ結婚していなくても『婚約者です』と言えば入寮できた」
婚約者、というのは、いわば“この人と結婚したいから、この人とセックスするよ”とお互いに宣言しているような意味である。
だからと言って、他の人がその人たちとセックスすることを遠慮することは、ない。
「じゃあ、もしかして、結婚したのは…」
「そうだ。真琴が俺との子を孕んで、別の時に、飯島が、乱入してきていた独身の女子を孕ませて、結婚できた」
「複雑ですね。」
「そうさ、俺らみたいに好きな相手と子供を作って結婚できるのはラッキーなほうさ。」
そんな話をしていると部屋についた。
「おかえり〜」
「ただいま〜」
リビングに入るとテーブルにはキレイに盛り付けられた料理が並んでいた。
「美味しそ〜」
「カワイイ後輩のためだからがんばっちゃった」
そういいながら、サラダを片手にキッチンから出てきた亜美の姿は裸エプロン。
「頑張り方間違ってるよな」
敬太はそういいながら配膳を手伝っている。
「敬太くんはノリが悪いのよ」
下の子を寝かしつけた優子も裸エプロンで亜美を手伝っている。