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ナースcalling!
官能リレー小説 - ラブコメ

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ナースcalling! 12


 *

 「秋吉さん! 一体どうされました!?」

 ヒロトの病室の扉が開け放たれ、血相を変えたハルカが飛び込んで来た。
ナースコールのボタンを握ったヒロトは、そんなハルカを無表情に見上げていた。
ベッドの上ではなく、床の上から。
床に座り込んだヒロトの傍らには、乗り手なく佇む車椅子があった。

「悪い。起きれなくなった……」

 悪びれる様子もなく、随分ざっくりとした状況説明をするヒロト。
彼の手元から離れたナースコールのボタンが、繋がれたカールコードの反動で跳ねるようにベッドの枕元へ戻っていく。

「秋吉さん。これはどういう事ですか?」

 ハルカは腰に手を当て、呆れたようにヒロトに声を降らす。
ヒロトはそんなハルカから顔を背け、漫然と床を眺めていた。

「車椅子は1人で使わないようにって言ったじゃないですか!」

 ハルカは声を荒げながら、座り込んだヒロトに駆け寄りその身体を支える。
ハルカのその反応に、ヒロトはうんざりしたような表情を浮かべ、小さく溜め息をついた。

「いけるかな、と思ったんだよ」

 ヒロトは憮然と呟きながら、車椅子へと視線を向けた。
ヒロトは、変わり映えのしない寝たきりの毎日に嫌気が差し、気分転換に車椅子に乗ろうとした。
しかし、骨折した上に弱った身体がすんなりと言う事を聞いてくれる訳もなく。
床に落ちてどうにもならなくなったヒロトは、渋々ナースコールを発する羽目になったのだった。

「もうっ。車椅子に乗りたいなら、そう言って下さればいいのに」

「だから呼んだだろ」

「それは結果的にでしょ! こうなる前に呼んで下さい!」

 尚も口応えするヒロトを一喝し、ハルカはヒロトを抱き起こしに掛かる。
ハルカはヒロトの両脇に腕を回し、ヒロトが立ち上がる手助けをする。
しかし、体格が良い上に力の入らないヒロトの身体は、ハルカの女手ではなかなか持ち上がらない。

「んぅー、結構重いですね……」

 それでもハルカは懸命にヒロトを抱き起こし、大方ヒロトの身体が立ち上がった。

「大丈夫かよ、看護婦さん……っとと」

 ヒロトも何とか踏ん張ろうとするものの、思うように力が入らず、逆にバランスを崩してしまう。

「きゃっ、危ないっ!?」

 バランスを崩したヒロトは、ハルカに覆い被さるように倒れ込んだ。
期せずして、ハルカをベッドに押し倒す形になってしまったヒロト。
そしてその顔が着地した先は、柔らかな双丘の谷間であった。
ヒロトの顔面は、ちょうどハルカの胸元に埋まってしまったのである。
柔らかに沈み込むように、それでいて弾力を感じさせる女性の象徴。
忙しなく上下するそれは、高鳴る鼓動に呼応しているかのようにヒロトは感じた。

「わ、悪いっ」

 ヒロトは慌ててハルカの胸から顔を上げるも、今度は互いの目と目が焦点を合わせてしまう。
驚きに染まるハルカの可憐な顔立ちは、上気したように赤みを帯びていた。

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