ナースcalling! 24
頭を掻きながら豪快に笑いだす亮太。
つられてミチルも笑い始めていた。
「したらのぉ……せんせぇ邪魔したのぉ」
ミチルに背を向けた亮太。
「あっ!坂本さん!また明日」
その背中に明るい声をかけるミチル。
「ほんじゃ……またあいたじゃ」
少し振り向き、子供のような笑顔を見せる亮太。
そのまま部屋をあとにして行った。
亮太が去り、ミチルの部屋に再び静寂が戻った。
*
ストローがコップの縁をなぞると中の氷は涼しげな音を立てた。
その様子を見ていたハルカの視線は
「それで……」
と口にしたミキの方へと自然に移り
「ヒロトさんってどんな人?」
と続いた言葉に
「っ!!!!!!」
意表を突かれて噎せ返りそうになる。
それを無理やり呑み込んだハルカは
「とっ、突然何ですかっ」
と焦りと非難との中間辺りに落ち着いた声で訊き返していた。
「アキオさんの同僚なんでしょ? 気になるじゃない」
にこりと笑って言うミキだったが、それはどこか意味深な笑顔に映っていた。
「ん〜……何て言うか、一言で言えば無口な方ですよ? アキオさんとは自然に会話を弾ませてるみたいですけど、人見知りするタイプ? なのかな?」
「へぇ、そんなんだ……」
意外、と続きそうな余韻を含ませ、ミキはストローに口を付けた。
「アキオさんの同僚っていうから、てっきり手当たり次第にナンパしまくってるのかと思ってた」
「ちょ……ミキ先輩、自分の恋人にどんな印象を持ってるんですか」
そう、何を隠そうハルカの看護士先輩であるミキはアキオの恋人なのである。
「ん? そうねぇ……チャラい男? かな?」
「またまたぁ。そんなこと言って、本当はどんなとこに惹かれたんですか?」
「ふふん……ヒミツ」
半ば照れ臭そうに返したミキの頬は少し赤らんでいた。
「でも良かった。アキオさんとは真逆の性格みたいだし、二人で形振り構わず声を掛けまくるってことはなさそう」
「大丈夫ですよ。ヒロトさんが入院してる間は私がしっかりアキオさんを監視してますからっ」
ハルカは右手に力強い握り拳を作ってみせる。
「ありがと」
その意気込みにミキは微笑みを零していた。