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ハーレムなんかクソくらえ
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレムなんかクソくらえ 28

綾公路莉緒との長いディープキスを終えて、握っていた手首から手を離した。
綾公路莉緒の表情は恍惚とした表情を浮かべ、唇をわずかに開いたまま、びくっ、びくっ、と小刻みの痙攣を起こしていた。
「連絡先はここに。綾公路先生、診察ありがとうございました」
俺は会社の名刺を診察室の机の上に置いて、クリニックの会計に向かった。
「すいません、急用ができまして、とりあえずこれだけあずけて行きます。おつりは次の診察のときにお願いします。次回の予約はまた電話しますね」
会計担当のかっぷくのよい中年女性に一万円札を手渡し、スマホを耳にあて話すふりをしながら、俺はクリニックを出て駅にむかった。
電車に乗って綾公路莉緒の柔らかい唇の感触を思い出しながら、会社ではなく、そのままアパートの部屋に帰ってきた。
平日昼間の車内は、朝の通勤の時間帯や夕方から夜の帰宅の時間帯にくらべてのんびりとシートに腰を下ろし、うとうとしたり、車窓から外の景色をながめていた。
女社長の山崎さんから次長の北河遥には俺は今日から四日間、出張という連絡がされているはずだ。
綾公路莉緒にキスをして効果がなく、警察を呼ばれて逮捕されるかもとクリニックに行くまで緊張していたのとくらべると、帰りはかなり気楽だった。
女社長の山崎さんが平日の夜に泊まりに来たのは初めてだと、部屋でごろごろしながら思っていると、元英語講師で今は人事部の面接官と「海外出張者のための英会話教室」という講座の講師を兼任しているエミリーさんから、電話がかかってきた。
これもめずらしい。まあ、今までは仕事帰りにエミリーさんが英会話教室のビルから出てくるのを待って、一緒に食事して、そのあとエミリーさんの暮らすアパートの部屋かラブホテルで、というのがいつもの定番だったからだ。
「うん、出張中なんだ」
「そうなんですね。がんばってくださいね」
短い電話の会話だけど、会いたがっている感じが伝わってくるのがすごい。
エミリーさんの電話を終えてから、一度、深呼吸してから、北河遥に電話をかけた。
「大丈夫か?」
「ええ、まあ、顧問チーム以外は大丈夫です」
「ちがうよ」
「えっ?」
「出張から帰ったら、映画館に行こう」
しばらく沈黙する。
「もしかして、泣いてたりする?」
「まさか。仕事のほうは任せておいて下さい」
そのあと、夕食に買い置きのカップラーメンと帰りにコンビニで買ってきたおにぎりを食べて、風呂に入ってふとんに横になったら、すぐに眠くなった。
そのまま、夜中まで眠っていた。
部屋の電灯がつけっぱなしになっていた。
「ん?」
スマホの着信履歴に見慣れない電話番号が。

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