PiPi's World 投稿小説

アンドロイド育成計画
官能リレー小説 - ハーレム

の最初へ
 7
 9
の最後へ

アンドロイド育成計画 9

内部のセンサーは停止することなく動き続けていることで、アンドロイドが常に利用者に反応を示すことができる。
しかし、電力を必要とするセンサーへどのように電力供給するか。
蓄電されたバッテリーから電力を与えるのではなく、発電機関を頭部内部に搭載する。
翠は拓巳の話を聞いていて、うなずいた。
「ロボットでも24時間稼働するものはあるけれど、かなりの電力を消費するわ」
「高級時計のゼンマイを巻き上げる動きを自然なしぐさにする。何かの音声を発するときの唇の動きやまばたきなどで巻き上げる」
「それで頭部だけというわけね」
翠は人形の胸や腹部が四角にかぱっと開くと、中で歯車が回っているのを想像した。
「からくり人形みたいね」
「人口知能のプログラム処理マシーンを頭部に搭載しなければならないと思い込んでいる国内メーカーのロボット設計図は、もう見飽きました」
「いいでしょう。そのスイスの職人という人を紹介して下さい。アンドロイド製作プロジェクトに参加してもらえないか交渉してみますから」
「感謝します」
拓巳がまた音声プログラムのチェック作業に戻っていく。
翠が小さなため息をついたのを、拓巳は気がついていない。
ハセガワコーポレーションの社長、長谷川翠が、スイスの職人エレナ・パティックをアンドロイド製作プロジェクトの技術担当に迎え入れた。正確にはエレナをリーダーとするスタッフ十人を迎え入れた。
「あなたが工藤拓巳?」
(いきなり呼び捨てか……この女、誰だ?)
エレナ・パティックはハセガワコーポレーションの本社に到着すると、すぐに拓巳に会いに来た。
「琴音に頼まれて協力することにしたの、感謝しなさい」
「あー、うん。まあ、よろしく」
オトマール・パティックと聞けば、職人ならば誰もが知る「魔術師」と呼ばれる凄腕の技師であり、そのオトマールに「私の後継者は一人だけ。エレナしかいない」と言わしめた若き女傑である。
・スイスの「からくり師」エレナ・パティック、アンドロイド製作プロジェクトに参加。
エレナは年齢は二十五歳、拓巳より一歳上だが、三歳からあらゆる「からくり」で遊び続けて育った。
拓巳はエレナから、興味深い話を聞くことになる。
かつて、プラハですべてからくりで動く人間そっくりの人形があったという伝説。
それには人の魂が宿った、と。
パティック家はその技術を受け継ぎ、完全な自動人形を造り出すことを目指してきた一族で、そのため「魔術師」の名を継いでいるのだという。
そしてもう一人、ロボットに「魂を宿らせる」ことに憧れている女性がいた。
「脳波異常なし、システム起動」
白衣をまといカプセル型の装置を見つめている人口知能の研究者オリビア・センジブル。
戦車や戦闘機などに搭乗することなく離れた場所で思うだけで操縦できるシステムの開発に挑んでいる研究者である。

SNSでこの小説を紹介

ハーレムの他のリレー小説

こちらから小説を探す