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アンドロイド育成計画
官能リレー小説 - ハーレム

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アンドロイド育成計画 8

負傷した兵士用の義手にロボットを装着することは、実は極秘で実験段階で行われていたが拓巳のプログラムほど、動きがなめらかではない。保留という判断が下されていた。
若干のぎこちなさがあるハセガワコーポレーションの限定販売された手こきアンドロイドを某大国の技術開発部が入手していたとすれば「この技術で完璧な義手が作製可能」と上層部に、報告文書を上げていたはずである。
辻村琴音、二十歳。人形師。
長谷川翠、三十歳。経営者。
拓巳は二十四歳。少なくともこの二人の女性から惚れられているのだが、研究熱心というか恋愛に疎いところがある。
夜十時、拓巳はまだ職場で一人、パソコンの画面にカタカタと入力を続けている。
独身社員用の寮がわりである会社で借りている賃貸物件で拓巳は暮らしている。ただし、あまり帰宅せずに朝まで仕事をしていることが多い。
「また泊りこむつもりなら、警備員に連絡しておきなさい」
「社長も仕事ですか?」
「ええ、まあ、これから帰るところです。ちょっと休憩しませんか?」
「はい、じゃあ、ちょっとだけ……」
拓巳が立ち上がり、背筋をのばしてあくびをする。
翠は実は社員には知らせていないが、本社ビルの最上階に部屋があり、そこで一人暮らしをしている。
翠は自室の端末で拓巳の出退勤の情報を閲覧して、気になってわざわざスーツ姿に着替えて化粧もしてから、様子をうががいに来たのである。
「残業代も契約で会社から払われないのに、仕事熱心なことね。そんなに忙しいの?」
「そうではないんですけどね……」
「けど、なんでしょう?」
「アンドロイドの本体を製作する会社は国内メーカーから入札で選んでいるんですよね?」
「先代までは自社工場で製作していましたが、今は外注ですよ」
「試作品だけ、海外メーカーなんですが製作を依頼することは可能ですか?」
どこの会社かと聞いてみると、聞き慣れない会社名を拓巳が言い出す。
「それは工業系のロボットを製作している企業ですか?」
「ちがいます。デザインはアーティストの辻村さんに依頼したことは先日、報告書を上げたはずですが、確認していただきましたか?」
「承認しておきました。依頼料は自腹とのことなので報告書はいらなかったかもしれませんけどね」
「辻村さんがアンドロイド製作のときに本体の頭部だけを製作依頼している職人が、スイスにいまして」
「スイスですか?」
もともと時計の職人だった技師がスイスで技術を学び、その技術を応用したロボットの頭部だけを製作している。
「プログラムされた表情をアンドロイドが作るには、人口皮膚の造形だけではなく、それを細やかに動かせるロボットの頭部が必要なんです」
「人間が、顔の筋肉の動きで表情を作るような?」
「そうです。たとえば、人のまぶたのふるえまで再現することができる国内メーカーがあれば話は変わってくるとは思いますが」
琴音のアトリエで拓巳が見た老婆の頭部は、細やかなふるえがあった。
拓巳はそのふるえを使い女性の絶頂感を演出しようと思いついた。
日本のロボット工学研究者は性欲処理用アンドロイドには否定的で、人口知能の研究者たちの方が肯定的なことのずれが、アンドロイドを製作するとよくわかる。
琴音は性欲処理用アンドロイドではなくリアリティーを追求して、同じ問題に直面した。
日本のロボット工学研究者たちより、スイスの職人たちのほうが技術の追求に熱心だったので、ふるえを再現するために極小のパーツを作り、電力でない仕掛けで動かした。

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