新・すべてがかなうスマホ 33
ある日の放課後―
「えーと、あのー」
「まあまあ、ごゆっくりなさってください。もうすぐお湯が沸いて、そしたら…あっ、コーヒーと紅茶、どちらが宜しいですか?」
結衣ちゃんからなぜか頼まれた陸上部の申請書類を提出しに生徒会室に向かうと、一人で優雅にティータイムしていた生徒会長・三森瑞季先輩のペースに巻き込まれ、帰るに帰れなくなってしまっていた。
「あー……えーっと、じゃあ、紅茶で…」
頼まれると断れない性格を少々後悔(そもそも結衣ちゃんからの時点で)しながらも、おっとり天然系美人の生徒会長とおしゃべりできる機会なんてそうそうないだろうな、と考え直して用意された椅子に座る。瑞季先輩はニコニコしながら僕の分のティーカップを棚から出して紅茶を入れ始める。
「陸上部…結愛ちゃんとも仲が宜しいのですね」
「へっ!?あ、まあ…」
結愛先輩…そうか、学年同じだし2人、仲が良いのかな?それと同時に結愛先輩のわがままボディのことも思い出してしまうんだけど…
「陸上部は男女ともに仲良くて、非常に良い雰囲気で部活をされていると思います」
「はい」
確かにすごく雰囲気はいいし、部員みんな仲が良い。
だけどごめんなさい会長。僕はただのお手伝いで正式な部員ではないんです。
「一条くん、でしたっけ」
「はい」
「学校生活は楽しいですか?」
「ええ、もちろん」
瑞季先輩から僕はどんな生徒だと思われているんだろう。まあ初対面だから仕方ないけど…
クラスに馴染めてないとか、下手したら保健室登校状態の子だとかに見られてないか、些か心配になる。少なくとも見た目は陰キャで冴えない男だからな…
しかし、瑞季先輩、ものすごく美人って言うのとともにそのテーブルに乗っかってる胸…いかにも重たそうなのぶら下げてますッて感じだ。そして男子にとっては股間に悪い。
その重たそうなソレに自分のナニを挟んでアレしたりコレしたりしてくれたら最高だろうな、とか、考えてしまっては…
ブーン
ポケットの中のスマホが反応した。
今までにも何度もあったこの反応…もはや俺の考えとあのスマホ、シンクロしてないか。
でも、この状況からどうやって?
目の前の柔らかな笑顔の先輩、誰もが尊敬してるだろう生徒会長を…
「一条くん」
「は、はいっ」
「一条くんから私に、何か、これだけは!っていう、伝えたいことがあれば何でも言ってください」