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下宿少女
官能リレー小説 - ハーレム

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下宿少女 37


翌日、少女は前日と同じように川岸に座っていた。
一つだけ違うのは少女の顔が期待に満ちたものであるということである。
少年は約束通りの時間にやって来た。

「お、もう来てたのか。早いな〜」

「………い、今来たところ……………」

嘘だった。
少女は約束の時間の30分以上前から待っていたのである。
だが、不思議と退屈は感じなかった。
少年を待っているだけで楽しみで、胸はドキドキとしていた。
何が少女をそうさせるのかは少女自身にも分からない。
しかし、少女は初めて感じるその感覚を大事なものとして捉えていた。

「んじゃ、何して遊ぶ?」

「…なんでもいい。」

「何でもって言われてもなぁ…」

少年は考えが浮かばずに黙り込んでしまう。
少女は静かに少年の方を見ていた。

「あ、じゃあかくれんぼは?」

「…かくれんぼ?」

「そう。森の中だから隠れられる場所はいっぱいあるぞ。」

「…やる。」

少年の提案に少女は賛同する。
静かだが、やる気に満ちた顔だった。

「じゃあ…じゃんけんぽん!!!」

少年、チョキ。
少女、グー。

「げぇ…負けた………」

「…勝ち。」

少女は胸を張って勝ち誇る。
たいへんほほえましい光景だった。

「ちぇ…じゃあ数えるけど、あんまり遠くへは行くなよ。」

「…分かった。」

そういって少年は少女に背を向け、カウントを始める。
少女は小走りで、その場を離れた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「………」

少女は森の中にある木々の影に隠れ、少年の様子を覗き見ていた。
自分のことを必死に探している少年を見ていると、嬉しさがこみ上げてくる。
少女はかくれんぼのことなど忘れ、少年に見つかることを期待していた。

ピー…ピー…

「………?」

ふと、少女の耳に謎の音が届いた。
黙っていなければ聞こえないような微かな音。
少女は耳を澄ます。

ピー…ピー…

意識した分、今度は先ほどより大きく聞こえた。
少女はキョロキョロと周囲を見渡す。

「あ………」

音を頼りに探すと、地面には小鳥が落ちて鳴いていた。
頭上を見上げると、枝の先の方に鳥の巣が一つ。
中には兄弟だろうか、小鳥たちが2匹ほど鳴いていた。
少女は小鳥の側にしゃがみ込むと語りかける。

「…お家から落ちたの?」

ピィー…ピィー…

「…そう。だったらお家まで運んであげる。」

そう言うと少女はポケットからハンカチを取り出して小鳥を優しく包む。
そのまま右手に小鳥を乗せると巣がある木を登り始めた。

「…んっ………んっ………」

木登りなどしたことがない少女は小鳥を落とさないように慎重に枝に足をかけて登っていく。
かなりの時間をかけてようやく巣がある枝までたどり着き、小鳥を手からそっと下ろしてやる。

ピィー…ピィー…

「…もう落ちちゃだめだよ?」

少女はそう言って微笑む。
小鳥たちは相変わらずの調子で鳴き続けていた。

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