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下宿少女
官能リレー小説 - ハーレム

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下宿少女 34


「………」

「ゆう?」

急に抵抗を止め、黙り込んだ俺の顔を訝しげな表情で覗き込んでくる千夏。
俺はいきなり千夏を抱きしめると、そのまま体の下に組み敷く。

「あ…」

やっと抵抗しようとするが、もう遅い。
俺は千夏の動きを力づくで押さえ込み馬乗りになった。

「……………」

「ゆ、ゆう?目が怖いよ…?」

俺はその状態のまま、黙って顔だけをゆっくりと千夏の顔に近づけていく。
千夏の顔に焦りの色が浮かんだ。

「あ…ちょ、ちょっと…」

「………」

どんどん顔は近づいていき、残り数センチ。
そこで観念したのか、千夏は抵抗を止めて目を閉じる。
体が僅かに震えていた。
室内には痛いほどの静寂が走る。

「………」

「…………?」

いくら経っても訪れない感覚を不思議に思ったのか、千夏は目を微かに開いた。
千夏の目には満面の笑みを浮かべた俺が写っているだろう。
俺は千夏の顔から離れ、解放してやる。

「ほら、こういうことになるんだから気軽にああいうことは言っちゃ駄目だ。」

「う〜…イジワル、期待しちゃったじゃん…」

「嘘付け、震えてたくせに。」

千夏はベッドに座り込み、上目遣いで睨んでくる。
正直に言って、押し倒してしまいたいくらいに可愛かった。
沸き上がる黒い欲望を押さえつけ、ベッドに背を向ける。

「この後、昼飯だろ?行こうぜ。」

「は〜い…」

千夏と一緒にリビングへと向かう。
高鳴る心臓の音が隣を歩く千夏に聞かれないかが気がかりだった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「へぇ、綺麗だな…」

昼食後、俺は一人で別荘の近くを流れる川にやってきていた。
川は別荘の周りの木々の中を少し歩いたところにあり、それなりの勢いで流れている。
静かな山の中に川の流れる音と鳥のさえずりが響いており、とても落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

「…ん?何だ、あれ………」

ふと、川岸に木の板があるのが目に入った。
ただの板ではなく、立て札のような…
近づいて拾ってみると、腐りかけの看板のようだった。
古くなって自然に倒れたようだ。
裏返してみると、ギリギリ書いてあることが読みとれる。
どうやら、キャンプ場の位置を示す物のようだった。

「ん…?」

そこに書かれたキャンプ場の名前には聞き覚えがあるような気がした。
と言っても、最近ではない。
まだ小さかった頃、かろうじて記憶の片隅に埋もれているような感じ。
たしか…俺が親戚の家に引っ越す前に小春の家族と一緒に訪れたキャンプ場が、こんな名前だったような………

「…行ってみるか。」

立て札の表記は下流に1キロ。
俺は自分の記憶を確かめるために歩き始めた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「ここは…」

たどり着いた先の風景には見覚えがあった。
流れが比較的おだやかな場所に広めのスペース。
昔、俺と小春がキャンプをしにやってきたところだった。
しかし、現在はキャンプ場は閉鎖されてしまったらしい。
周囲には人の気配はなかった。

「………」

この場所が俺にとって思い出の場所だと分かると、忘れていた記憶も蘇ってくる。
俺は一人の少女のことを思い出しかけていた。
遠い昔に知り合い、たった三日間を共に過ごした少女のことを。

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