下宿少女 24
そんな俺の心の叫びはにゃん二郎には届かなかったようで、呆然と言葉を失った俺の耳に、ニャーという気の抜けたのんびりとした鳴き声が届いたのだった。
ああ…もう一度言おう。
どうしてこうなった……………………
〜エピソード7 トシシタノオンナノコ〜
「んで…お前は4人の美少女と同棲中と?」
「…ああ。」
俺の家族たちから衝撃的な宣告を受けてから数日後。
俺は家にトーヤを招いていた。
本当はシンジも誘ったのだが、部活の方で仕上げなければならない作品があってこられないらしい。
ちなみにシンジは絵を書くのが上手く、美術部に所属していた。
トーヤは陸上部で小春は料理部、千夏はソフトボール部や水泳部などを掛け持ちし、秋穂は手芸部、冬美さんは部活には入っていないが生徒会をやっているらしい。
それはともかく…家に招いたはいいが、今日は休日。
つまり家には他の家族たちもいるわけで…
今までは一緒に生活しているとは言っていなかったため、俺はトーヤによる質問責めにあっていた。
「ずるい〜ずるいずるい!!!ず〜る〜い〜!!!俺も美少女に囲まれて暮らしたい〜!!!」
「うるさいな…」
いつかのように駄々っ子になってバタバタと暴れ回るトーヤ。
むちゃくちゃ鬱陶しい。
「ほらほら、もういいだろ?この話は止めよう。」
「くそ〜…」
やっと大人しくなったな…
渋々だが諦めたようだ。
俺たちはそれから、二人で携帯ゲーム機などで遊んで過ごした。
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時間は過ぎて夕方。
俺はトーヤと一緒にコンビニに来ていた。
コイツがこの辺りに来たことが無いので案内しろと言われたからだ。
しかし…家を出る前のトーヤのニヤニヤした顔が気になるな…
「よしっ…とりあえず晩飯はこれでいいか…」
トーヤは推薦で入学してきたので実家から出て一人暮らしをしているらしい。
どうでもいいが、たまには自炊もしないと栄養が偏るぞ…
「それじゃユウ、また明日な。」
「ああ、また明日。」
コンビニを出てトーヤと分かれる。
ふと顔を見ると再びあのニヤニヤ顔をしていた。
「な、何だよ…?」
「いやなに…実はな…出てくる前に俺、携帯を忘れたって言って1回お前の部屋に戻っただろ?」
思い返せば、確かにそんなことがあった。
あまり気にしてはいなかったが…
「その時にな、お前にプレゼントしようと持ってきたエロ本をお前の部屋の入り口に…」
「うおおいっ!!!なにやってくれてんのお前!?」
いきなりの告白に思わず叫んでしまった。
ヤバいかもしれない…
「ちなみにタイトルは…“週刊ロリッ娘パラダイス!!!”」
「ひぃぃ!?」
そんなものを誰かに見られたら間違いなく在らぬ誤解を受けてしまう…
「ドアは開けておいたから。早く帰った方がいいぞ〜」
「ちくしょ〜!!!」
俺は迅速に“ロリッ娘パラダイス!!!”を処分するために走り始めた。
「おすすめは13ページのドSロリだから。明日、感想聞かせてくれよな〜」
「いらねぇよ、そんな情報!!!」
明日会ったらとりあえずぶっ飛ばす。
そう心に決めて俺は走り続けた。
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バタン!!!
玄関のドアを勢いよく開けて家に飛び込む。
ここからコンビニまでは走って5分くらいだか、トーヤの買い物に付き合っていたせいで家から出て15分以上が経過していた。
急がないと誰かに見つかってしまう…
2階まで駆け上がると、確かにドアが開いていた。
あのヤロウ…
部屋の中にはトーヤの言っていた通り、雑誌が置いてあるようだった。
しかし、それは外からは見えない場所…ドアの影に隠されるように置かれていた。
「だ、誰にも見られてないよな…?」