下宿少女 19
「お前さ、好きな人とかいないの?」
いきなりストレートにきたな…
まぁ、ハッキリしているのがコイツのいいところか。
「どうだろうな…まだそういう感覚って分かんねえや…」
「あっそ…」
トーヤが呆れた目でこっちを見てきている。
何なのだろう…
「ま、ユウがそれでいいんならいいけどな。」
本気で意味が分からない。
何が言いたいんだ?
「それってどういう…」
「ちょっといいかな…?」
ん?気が付くと小春がやってきていた。
千夏は委員会があるとか言ってたから先に帰っといてって言ってたし、帰りのお誘いかな?
「おう、小春。もう帰るか?」
「あ…そうじゃなくて…高橋くん、ちょっといい?聞きたいことがあって…」
「へ?俺?」
小春から俺以外の男子に話しかけるなんて珍しいな…
どうしたのだろう。
「ごめん、ゆうくん。先に帰っててくれない?」
「あ、ああ…シンジ、帰ろうか?」
「うん…」
釈然としないものを感じながらも、シンジとともに帰路につく。
小春がトーヤに聞きたい事って何だろうな…
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結局、俺が帰宅してから1時間くらいして小春は帰ってきた。
俺と目があったときに不自然に逸らされたのが気にはなったが、その他はいつも通りの小春だったように思う。
だから、俺はすぐに気にすることを止めたのだった。
そして時間は過ぎていき、俺は次の日の学校の用意を済ませベッドに横になっていた。
ウトウトとまどろみ、本格的な眠りに落ちようとしている中、部屋のドアが開いて誰かが入ってきた気がした。
(ん…誰だ、こんな時間に…)
眠りに落ちようとしている頭では、誰かが入ってきたことは分かっても、目を開けることはかなわなかった。
今にも眠りに落ちそうだったが、耳に届いた声が俺の意識をとどめた。
「ゆう君…」
(この声は…小春?)
俺は声から侵入者を特定する。
真夜中の侵入者…小春の気配は徐々に近づいてきていた。
「ごめんね…ゆう君…」
(なんで…謝ってるんだ?)
ぼんやりとした頭では思考はまとまらなかった。
一つ確実なのは、小春はもうベッドの側まで来ているということだけ。
「でもね…ゆう君を他の女の子に取られちゃうなんて嫌なの…」
その言葉と同時に布団が軽く剥がされ、ベッドがきしむ音がした。
おそらくは小春が入ってきたのだろう。
さすがの俺も徐々に覚醒してきた。
目を開けて小春の名前を呼ぼうとした時、俺の口が何か柔らかいもので塞がれる。
「ん…ちゅ…ちゅ…」
「んんッ…!?」
目を開くと、目の前に小春の顔が広がっていた。
小春は小鳥が餌をついばむように小刻みに音を鳴らし、俺の唇を味わっている。
突然のことに頭が回らず、口が僅かに開いた瞬間、生暖かくてヌルヌルしたものが俺の口の中に侵入してきた。
「ん…ジュル…ジュル…ちゅ…」
「んっ!?んんっ!!?」
小春は俺の咥内をなめ回すと、反射的に分泌された唾液を吸っていく。
しばらくして、お返しとばかりに小春の唾液が舌を介して送られてくる。
他人の唾液のはずなのに不思議と嫌悪感はなく、むしろ送られてくる唾液が胃の中に流し込まれる度に、俺の体の中をもどかしい疼きと熱が駆け巡った。