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下宿少女
官能リレー小説 - ハーレム

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下宿少女 18

〜エピソード5 ハジメテノヨル〜

「……………これ、は…」

少しばかり肌寒さを感じる朝のことである。
俺はいつも通りに起き、いつも通りに朝食を食べ、いつも通りにみんなと登校してきた。
そして現在、俺はげた箱の蓋を開いた体勢で固まっている。
端から見れば、さぞ間抜けに見えるだろう。
それはさておき、なぜ俺が硬直しているかと聞かれれば理由は簡単。
げた箱の中に見慣れぬ封筒が入れられていたからである。
取り出して封筒を観察してみると、丁寧な文字で“天野君へ”と書かれている。
これはいわゆる…

「「ラブレター!!?」」

気が付くと、小春と千夏が俺の手元をのぞき込んでいた。
おいおい…朝からそんなに大声出すなよ。
みんなこっち見てるじゃないか。

「へ、へぇ〜…今時こんなのあるんだねぇ〜…」

「な、なんて書いてあるの?ゆうくん!!!誰から!?」

しかも異様に興奮してるし…
まぁ、たしかに電子機器に頼りきった今の時代に手紙とは珍しい。
だからこそ二人とも、どんなやつが出したのかが気になるのだろう。
しかし…

「ほら、早く行かないと遅刻するぞ。」

俺は二人に背を向けて歩き出す。

「ちょ、ちょっと…ゆう!!!誰からなの!?」

「ゆ、ゆうくん…読まないの?」

「もし今読んだらおまえらも読むだろ?」

差出人が誰であれ、勇気を出して書いてくれたのだ。
ならばこれは俺と相手の問題であり、こいつらの出る幕はない。
まぁ、まだ内容を見てもないのだけど…

「む〜」

振り向くと千夏が頬を膨らませていた。
俺、なにかしたか?

「ど、どうした千夏?」

「だって、絶対それって初めての態度や対応じゃないよね…」

「ああ、中学の時に2・3回あったかな…?」

「…は?」

「ゆ、ゆう君!!!彼女いるの!?」

何でそんなに驚いてんだよ?
俺が告白されたことがあるのがそんなに意外か?
「いるわけないだろ。まだ誰が好きとかそういうのって分からないし…」

なんだろう…二人の俺を見る視線の温度が下がった気がする。

「へぇ…ふぅん…ほぉ…モテルオトコッテツライネ、ユウ!!!」

「なんでカタコトなんだよ…」

千夏の機嫌が明らかに悪くなったな…
そんなに手紙が見たかったのか?

「なによ…こんな美少女がアプローチしまくってんのに…普通なら手、出しちゃうでしょ…」

なんかブツブツ言ってるな…
他の生徒たちの会話に紛れてうまく聞き取れないが。

「…中学の時から……どうしよう…早く何とかしないと…取られちゃう………」

小春も小春でブツブツ言ってるし…
しかし、千夏と違って目の様子がおかしい。
何というか…焦ってるっていうか…追いつめられてるっていうか…

「小春?どうかしたか?」

「……………ううん!!!大丈夫だよ?」

「そうか?」

何だろう…
小春は笑顔を見せているが…
なんか違和感があるっていうか、いつもと違う…?
気のせいだろうか…

「調子が悪いなら言えよ?」

「うん!!!ありがとう。」

俺はそんな小春のことを不思議に思いながら教室に入っていった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「んで?体育館裏に呼び出されて告られて、断ってきたと…」

「あ、ああ…」

時間は過ぎて放課後。
俺はトーヤに捕まり尋問を受けていた。
事の発端は昼休み、呼び出されて体育館裏に向かおうとしたのをコイツに見つかってしまったことだ。
どこに行くのかしつこく聞き、教えないと付いていくと言いだしたので事情を話してしまったのである。
その後、発狂したトーヤをシンジに押しつけ体育館裏へ向かった。すまん…シンジ…
そして放課後になり、事情聴取が始まった。
本当は逃走したかったのだが、全国レベルの足を持つコイツから逃げきれるはずもなく今に至る。

「不公平だ〜なんでユウばっかり〜」

「高橋くん…みんな見てるよ?」

トーヤはジタバタとだだっ子のように地面でのたうちまわっている。
シンジも呆れてるぞ…

「でも、せっかく告白されたのに断っちゃってよかったのかい?天野くん…」

「相手の事は何も知らないしな。とりあえずは友達からだろ。」

「そんなもんかねぇ…」

あ、復活した。
トーヤは立ち上がり、探るような目で俺を見てくる。

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