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先祖がえり
官能リレー小説 - ハーレム

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先祖がえり 86

しかしその様子がおかしい。

「おい、狐太郎は何を言っているんだ・・・音量をあげろ!!」

「は、はいっ!!」

医務室内の声をスピーカーに流す。

すると

『・・・寂しい』

「!!  コタちゃん!!」

留美はその言葉にハッと息を飲んだ。

そして

『・・・寂しい・・・寂しい、寂しい、寂しい・・・』

急に震えだした狐太郎。目は赤く、耳は立ち、尻尾も数を増やしている。

「ま、まずいです!源之助様! このままでは狐太郎様の人格が・・・!!」

「な、なに!!どういうことだ!!」

医師が慌てた様子で源之助に話しかける。

「このままでは狐太郎様の『人』の部分の人格が完全に寂しさに覆われて・・・崩壊してしまいます・・・」

「なんだと・・・それでは!」

焦る源之助。


その時

「・・・コタちゃん・・・コタちゃぁん!!」

「こ、こらっ!!留美!!今は危険だ!!」

留美は源之助の静止を振り切り狐太郎のもとへ走る。


そして

「・・・コタちゃん・・・」

狐太郎と顔を合わせた。

「・・・お・・・ねえ・・・ちゃん・・・」

狐太郎は虚ろな目のまま涙を流している。

「・・・どう・・・して・・・」

「コタちゃん・・・ごめんね。」

「・・・寂しい・・・さみ・・・しい・・・」

狐太郎は留美の言葉が聞こえない様子で寂しさを訴える。


すると留美は何かを決意して

――――――――キュッ

「!!!」

狐太郎を抱きしめた。

「おねえ・・・ちゃん・・・」

「ごめんね・・・コタちゃん・・・辛かったね・・・」

「あ・・・ああ・・・」

涙が次々と溢れる狐太郎。

「ごめんね・・・でも、安心して・・・お姉ちゃんは絶対にコタちゃんの事、嫌いにならないから・・・」

「・・・え・・・」

その言葉に狐太郎は留美の方を向く。

そして


「大丈夫、コタちゃんは私がずぅ〜っと守ってあげる・・・ずっと、ずぅ〜っとそばに居てあげるからね・・・」

大事な記憶が思い出される。

「・・・あ・・・ああ・・・う、うわああああああああん!!」

ついに大声で泣き出す狐太郎。留美はその頭を撫でながら

「大丈夫・・・もう大丈夫よ・・・」

狐太郎を安心させる。

「お、お姉ちゃん・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいぃ・・・」

狐太郎は留美に泣きながら謝る。

「僕・・・お姉ちゃんにひどいこと・・・ごめんなさい・・・」

「・・・いいのよ。お姉ちゃんこそごめんね。コタちゃんにこんなに辛い思いさせちゃって・・・」

そう言うと二人はしばらく無言で抱き合っていた。

留美の胸元は狐太郎の涙によってビショビショになっていた。




「・・・二人とも、もう大丈夫か?」

源之助が医務室から戻ってきた二人に声をかける。

「はい、お爺様。コタちゃんも・・・ほら。」

そういうと留美は自分の胸元に顔をうずめている狐太郎を源之助に見せる。

「うう・・・お姉ちゃん・・・」

狐太郎は寂しさを埋め合わせるように留美にしっかりと抱きついている。

「そうか・・・ならいいんだが・・・」

「?  どうかしたのですか?」

源之助の様子に首を傾げる留美。

「・・・ああ。加奈のことなんだが・・・」

「!!  そうだわ!!お爺様、加奈ちゃんは?!」

「そう焦るな。一応前みたいに血清を打ってある。だが・・・」

「・・・? だが、どうしたんです?」

「・・・まぁ、見たほうが早いだろう。ついてきなさい。」

「は、はぁ・・・」

そう言うと留美は首を傾げたまま源之助について行った。




「ご主人様!!ご主人様に会わせて下さい!!」

「わ、わかりましたから!少し落ち着いて!」

「これが落ちついてなどいられますか!!ご主人様の姿が無いのですよ?!」

加奈の居る部屋に着く前に、彼女の叫び声が聞こえてくる。

「あの・・・お爺様。」

「ああ。どうやらさらに母性というか・・・狐太郎を愛する気持ちが強くなってしまったようでな・・・」

源之助が苦笑いしながら答える。部屋の方からは何から物々しい音も聞こえてくる。

「そ、そうなのですか・・・」

「うむ・・・それに測らせてはくれぬが、その胸も一段と大きくなって・・・母乳の出も半端じゃない。」

「な・・・なんと・・・」

源之助がここまで言うのだ。相当なのだろう。


と、その時

「お姉ちゃん・・・加奈が居るの?」

留美の胸の中の狐太郎が質問する。

すると

「!!!!  今ご主人様の声が聞こえました・・・どこにいるんですか!!」

部屋の方から加奈の声が聞こえる。どうやら狐太郎の事を愛するあまりその声を聞き取ったのだろう。

「お、お爺様・・・」

「ああ。心して・・・な。」

留美は覚悟を決めて一歩ずつ部屋に近づいて行く。


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