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先祖がえり
官能リレー小説 - ハーレム

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先祖がえり 85

「い、いけません留美様!!今狐太郎様は気絶しているだけです!!このまま安静にしておかないとまた暴走しかねません!!」

「放して!!コタちゃん!!ごめんね!!お姉ちゃんひどいこと言っちゃった!!ごめんねぇ!!」

女性に止められながらもなお狐太郎のもとへ行こうとする留美。しかし狐太郎は起き上がる気配がない。

その時数人の女性が部屋に遅れて入ってきた。

「お前たち!!早く狐太郎様と加奈様を医務室にお連れしろ!!さぁ、早く!!」

「「「「はいっ!!」」」」

そう言うと後ろに控えていた女性たちは二人を担架に乗せて部屋を後にしていく。

「待ってぇ!!コタちゃん!!コタちゃぁ〜〜〜〜〜ん!!!」

部屋の中には泣き崩れる留美と、その姿を見ながらどうしようもすることが出来ない女性が残された・・・




「・・・留美、落ちついたか?」

留美の目の前に座る源之助。机の上には一口も手をつけられていない紅茶があった。

「・・・私は・・・コタちゃんにひどいことを言ってしまいました・・・誤解・・・なんです・・・」

「・・・・・・」

源之助は留美の話を黙って聞く。

「・・・私が・・・コタちゃんに嫌われても・・・私はコタちゃんのことを・・・嫌いになんかならないのに・・・」

「・・・そうか・・・」

「・・・でも・・・コタちゃんの心を・・・深く傷つけました・・・私は・・・私は・・・!」

「なぁ、留美。」

源之助は留美の話を遮って話しかける。

「・・・はい。」

「狐太郎は・・・なんで今回暴走したと思う?」

「それは・・・加奈ちゃんが使った香水で・・・」

「そうだ。では、その香水とは一体どんなものだったのだろうな・・・」

「・・・わかりません。」

素直に答える留美。源之助は一つ頷くと

「・・・アレは狐太郎の『寂しいと思う心』を刺激する香水だ・・・あの香水を狐太郎が嗅ぐと、狐太郎の心が刺激されて使用者に寂しさを埋めてもらうように甘えるようになる・・・」

「・・・・・・」

「加奈はそれを一度にたくさん使ってしまって狐太郎が暴走した・・・」

「そう・・・なのですか・・・」

なおも俯いたままの留美。

源之助は気にせず話続ける。

「ああ。つまり・・・狐太郎はお前を嫌ったのではない。お前、そして加奈に『助けて欲しかった』んだ。」

「・・・!!」

その言葉を聞いて留美はハッと顔をあげる。

「・・・『この寂しさを埋めて欲しい』・・・『包み込んで欲しい』・・・とな。」

「で、では・・・」

「ああ・・・今お前以上に苦しんでいるのは他でもない・・・狐太郎だろうな。自分の寂しさが止められないばっかりに、大好きな姉に『嫌われたと思わせてしまった』のだから・・・」

「・・・わ、わたし!!」

何かを決意した顔で立ちあがる留美。その心を悟ったのか

「・・・ふむ・・・直接会うのは難しいが・・・窓越しなら構わんだろう・・・ついて来なさい。」

源之助は狐太郎のもとへと留美を連れて行った。




狐太郎は昔の記憶を思い出していた。

それは大好きな従姉弟の姉に抱かれている思い出・・・

その思い出の中で姉は

「大丈夫、コタちゃんは私がずぅ〜っと守ってあげる・・・ずっと、ずぅ〜っとそばに居てあげるからね・・・」

そう言って狐太郎を心底大事そうに抱きしめる。

その頃から急激に大きくなり始めた姉の胸に包まれた幸せな一時・・・


しかし

「ごめんね・・・お姉ちゃん、コタちゃんに嫌われるようなことして・・・ごめん・・・ね・・・」

自分のせいで姉に嫌われたと思わせてしまった・・・

なんとひどいことを・・・彼女はあれほど自分のことを愛してくれていたのに・・・

罪悪感と絶望感が入り混じったドス黒い塊が彼の心を覆っていた・・・

・・・寂しい

・・・お姉ちゃんにひどいことをした

・・・もうお姉ちゃんは会ってもくれないだろう

・・・寂しい 寂しい 寂しい

いつしか彼の心の中にはその言葉が渦巻くようになっていた・・・




「どうだ、狐太郎の様子は。」

源之助が留美を連れて医務室に着いた。

近くに居る医師に狐太郎の様子を聞く。

「はい。呼吸は安定してきています。身体はもう大丈夫でしょう。」

その言葉を聞きながら留美は窓の方へ近づき

「ああ・・・コタちゃん・・・ごめんね・・・辛い思いさせて・・・ごめんね・・・」

狐太郎の姿を見ながら窓に額をこすりつける。

「留美・・・」

源之助はそんな留美の姿をどうすることも出来ないまま見つめる。


その時

「?!!  源之助様っ!!」

「どうしたっ!」

「こ、狐太郎様の様子が!」

「「!!」」

その言葉を聞いて源之助のみならず留美までもが窓から狐太郎の様子を見る。

そこには狐太郎の起き上がった姿があった。

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