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先祖がえり
官能リレー小説 - ハーレム

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先祖がえり 75

少しして加奈も戻ってきた。

「・・・留美様!ご主人様のご様子は?!」

どうやら走ってきたようである。よほど自分の愛する主人が泣いているのに慌てたのだろう。

「ええ。もう大丈夫よ。」

留美はヨシヨシと狐太郎の頭を撫でながら返事をする。

「あぁ・・・良かった・・・留美様、増築の件の手筈は整いました。」

笑顔で留美に甘える狐太郎の姿をみてホッとする加奈。ついでに報告も済ませる。

「そう、ありがとう。じゃあみんな、少し遅くなったけどご飯にしましょう。」

こうして留美の号令で食事が始まることとなった。


狐太郎は相変わらず留美の膝の上。別に狐太郎自身は加奈の膝でも美咲の膝でも喜ぶだろうが、留美がそれを許さない。「それだけは譲れない」とのことだ。

そして狐太郎に近いところから順に加奈、美咲、真由、亜紀、千恵、静香の順で座っている。どうやら位が高いほど狐太郎のそばに居られるようだ。


みんなで楽しくご飯を食べていると

「あの・・・ご主人様。」

「・・・んぇ?」

加奈と美咲が狐太郎に話しかける。

「こちらに二つのいなり寿司があるのですが・・・どちらが美味しいか判定して頂けませんか?」

これは加奈と美咲の間で行われていたことで、いわば美咲のいなり寿司の試験のようだ。

今まで加奈にいなり寿司の作り方を教わり、その腕がどれほどのものか確かめたいらしい。

「えっ?・・・僕に?」

「はい。というよりご主人様に判定していただかないと意味がありません。」

「どうして?」

「だって・・・ご主人様に気にいって頂ける料理を作りたいので・・・その他の人の意見はあまり参考には・・・」

加奈や美咲にとって、いや、ここに居る女たち全員にとって狐太郎はその『全て』である。

それゆえ、仮にいなり寿司を留美に褒められようが、あるいは別の人に褒められようが彼女たちには関係ない。狐太郎が気にいるかどうかである。

「・・・? よくわかんないけど・・・食べたらいいの?」

狐太郎はいまいち二人の気持ちが分からない様子だ。

「はい。 ・・・留美様、お願いします。」

「・・・わかったわ。はい、コタちゃん。あ〜〜ん・・・」

留美は二人の心情を悟ったのだろう。狐太郎の口に二つのうちの一つを運ぶ。

「あ〜〜・・・むぐっ。もぎゅもぎゅ・・・」

その様子を見守る加奈と美咲。

「・・・ンクッ。うん、美味しいよ。」

エヘッと笑う狐太郎。留美は

「じゃあコタちゃん、もう一個。あ〜〜ん・・・」

さらにもう一つのいなり寿司を狐太郎の口に運ぶ。

「うん。あ〜〜・・・んっ。むぎゅむぎゅ・・・」

留美が加奈と美咲の二人を見やる。すると美咲は先ほどと違って祈るように狐太郎の返事を待っている。どうやらこっちが美咲の作ったものらしいと分かる。

「・・・ングッ。」

ついに狐太郎が美咲の作ったものと思われるいなり寿司を飲み込んだ。

そして

「・・・美味しい・・・」

狐太郎の返事を聞いてガバッと顔をあげる美咲。その目には若干涙さえ浮かんでいる。

「ほ、本当ですかっ?!」

「うん!さっきのも美味しかったけど、こっちも美味しいよ!」

そう言って笑う狐太郎。喜ぶ美咲だが

「・・・ご主人様、どちらが美味しかったでしょうか?」

無常にも優劣をつけようとする加奈。彼女自身いなり寿司の出来で負けるのは悔しいようだ。

加奈の言葉を聞いてハッとする美咲。狐太郎の判定を固唾を飲んで見守る。

「・・・・・」

狐太郎はしばらく悩んでいる。

そして

「・・・どっちも美味しいよ。『こっちのほうが美味しい』って言えないぐらい。」

はっきりしない答えではあるが加奈と美咲にとっては十分な答えであった。

「そうですか・・・美咲さん?」

狐太郎の答えを聞いて加奈は美咲の方へ向き直る。

「・・・はい。」

美咲もこれから加奈の言う言葉を聞き逃すまいと加奈の目を見つめ返す。

「・・・どうやら合格のようです。これからは私だけでは無くて美咲さんもご主人様にいなり寿司を作って差し上げてくださいね?」

加奈が美咲に合格の判定を出し、ニコッと微笑む。

「あ・・・あ・・・ありがとうございますっ!!」

美咲はあまりの嬉しさに思わず加奈に礼を言いながら加奈に抱きつく。

「いえ。その代わり、これで怠けてはいけませんよ?常にご主人様の事を考えて美味しいいなり寿司を作ってくださいね?」

美咲に抱きつかれた加奈は「良くやった」と頭を撫でながら注意をする。

「はいっ・・・はいぃっ!もちろんですっ!」

美咲はなおも嬉しそうに加奈に返事をした。


こうして美咲も狐太郎にいなり寿司を提供することが出来るようになった。

ちなみに亜紀も料理上手ではあるのだが、まだ加奈に認められていないためいなり寿司を作ることを許されていない。

しかし、いつの日か亜紀も加奈に認められる日が来るであろう・・・




食事を終えた一行は風呂に向かうことになった。

しかし風呂場というのはかなりプライベートな空間である。それゆえ

「いいこと?コタちゃんと一緒にお風呂に入れるのはコタちゃんのお部屋に入れる子だけよ?今後、コタちゃんのお部屋に入ることを許された子だけが、さらにお風呂に入って良いかという許可を出してもらうようコタちゃんに頼むことが出来るわ。
ただ、コタちゃんの方から部屋に入る許可よりも先にお風呂の許可を出した場合はそっちを優先させるわ。いいわね?」

留美はあらかじめ狐太郎が居ない時にメイド達に説明をしていた。

よって今日風呂に入るのは狐太郎、留美、加奈、美咲のいつもの4人である。

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