先祖がえり 35
相当焦っていたのであろう。普段真面目な彼女からは考えられないようなミスをしてしまったようだ。
その指摘にさらに慌てる美咲。
「あわわわわわっ!!も、申し訳ございません!!」
ただただ謝るしかなかった。
「・・・ふぅ。もういいです。次からは気をつけてくださいね?」
「はいぃ!!以後気をつけますぅ!!」
その美咲の返事を聞くと加奈は途端にいつものニコニコ、ほんわかとした顔に戻り
「はい。それでは美咲さん、こちらへ。」
と言って、美咲を部屋の奥に案内していった。
加奈の部屋は美咲の部屋よりも大きく、留美の部屋や、この屋敷で一番大きい部屋の狐太郎の部屋よりは小さいが、十分なスペースが確保されている。流石はメイド長と言ったところであろう。
美咲は加奈の案内でその部屋の奥に行くとそこには服が飾られていた。
「これがこれからあなたに着てもらうメイド服です。いいですか?メイド服はメイドの証。大切に使ってくださいね?」
「え、これを・・・私に?」
美咲としては嬉しさもあったが、自分にこの服が似合うのかという不安もあった。
なにせ彼女は真面目が歩いているかのような人間である。学園でも生徒からは厳しいと評判の教師である。
その自分がこのようなフリフリのロングスカートなど・・・
そう思っているのを加奈に悟られたのか
「きっと似合いますよ。あ、それと、サイズが変わったらまた新調しますから、その日一日は我慢してくださいね?新調の手筈は分かってらっしゃると思いますが・・・」
「あ、ええ。それは承知しております。」
「はい。あと、今後屋敷内でメイドとして生活する場合は必ずこの服を着てくださいね。」
「え、必ずですか?」
「はい。先ほども言いましたが、メイド服はメイドの証ですので」
加奈はよほどメイドという立場を誇りに思っているのだろう。自信満々に美咲に理由を伝える。
「・・・分かりました。」
その自信に押されたのか、美咲も納得したようだ。
「さて、それでは早速着てみましょうか。」
「あの、私のと加奈様のではデザインが違うようですが・・・」
確かによく見ると二つの服のデザインは違っている。
美咲がそのことを指摘すると
「ええ。これは留美様のご意見です。一目でその人の役職が分かるようにと・・・」
なるほど。それで「教師長」である自分とそれをまとめる「メイド長」である加奈の服は違っているようだ。
「そうなのですか・・・えっと・・・」
「? まだなにか?」
「はい・・・私、メイド服って着たこと無くて・・・」
「あっ、そうでしたか。では、はじめは私が着ますから。そのあと自分で着てみてください。分からないことがあったら聞いてくださいね?」
そう言うと加奈は今までの胸元がはじけ飛びそうなメイド服を脱いでいき、新たなメイド服に着替えていく。
そのデザインは今までのものと変わっていないが、胸元はその大きな胸を包むために多くの布が使われていた。
「・・・はい。では、着てみてください。」
どうやら次は美咲の番のようである。美咲はこちらも大きくなったせいではじけ飛びそうなブラウスを脱いでいく。
その時、胸にあてられていたガーゼがハラリと床に落ちて気づく。
「あの・・・ブラジャーは?」
「ええ。こちらにありますよ。」
加奈はそう言うと美咲のブラジャーを持ってきた。
昨日加奈と一緒に下着を新調する手筈を整えた美咲は、その下着のデザインをとりあえず今の赤と黒を基調にしたものと同じデザインにした。
しかし、今加奈の手にあるその同じデザインのブラジャーは・・・
(わ・・・大きい。私の胸、こんなに大きくなったんだ・・・)
そう、明らかに今までのものより大きい。まあ一気に3カップほど大きくなれば当たり前だが。
そうして加奈から新しい下着を受け取るとそれを身につける美咲。
(・・・こうしてみると、ブラジャーに胸を支えてもらうって大事ね・・・)
改めて下着の必要性に気づかされる美咲。そのままメイド服に手をかける。
(えっと・・・ここをこうして・・・)
なんとなく加奈の真似をして着ていく美咲。幸いそれらしく着ることが出来た。
「どうでしょうか。」
加奈に聞いてみる美咲。すると加奈は
「そうですね・・・大体はあってますが・・・失礼。」
そう言って美咲に近づくと
――――――ムニッ、グイッ!
「ふやぁぁ!!な、なにをなさるんですか?!加奈様?!」
いきなり彼女の胸を掴み、動かし始める加奈。
「いえ・・・ここを・・・こうした、らっ!」
しばらくグニグニと動かした後、離れる加奈。
「ほら。見てみてください。」
そう言われるがままに自分の胸を見下ろす美咲。
「え?は、はい・・・って、ええっ?!」
そこには自分の想像した以上のボリュームをもった胸が存在していた。
メイド服のデザインは違うと言っても、似ているところもあり、特に胸元は加奈のもの同様、しっかりと谷間を見せつけるものであった。
それゆえ