先祖がえり 175
「・・・あなたはそれを計算に入れていませんでした。」
加奈である。彼女は里美の大きく膨らんだ胸を指差していた。
「・・・どういうことなの?加奈ちゃん。」
留美もそれには気になっていたようで、加奈に話の続きを求める。
「はい。留美様もあるかも知れませんが、胸は大きくなればなるほど・・・」
そこまで言った時、加奈はその場で一周ターンをする。
すると
「・・・っとと。」
バランスを崩したのか、よろめいてしまう。
「・・・このように、大きな運動をした時につられてしまいます。今でこそ私はブラジャーで支えているので止まることが出来ましたが・・・」
加奈は床に置かれた、無惨にも千切れたブラジャーと破れたメイド服を指差し
「・・・ノーブラであんなに激しい動きをしたらつられてしまって当然です。」
「なるほど・・・それで加奈ちゃんはあんな手段に出たのね。」
留美は加奈の説明に納得がいったように頷いた。
「あ、あうぅ・・・」
里美の方はそうだったのかとばかりに俯く。
そしてガバッと顔をあげたかと思うと
「あ、あのっ!!どうか減罰を!!罰を受けるのは構いませんが、どうか!!」
必死に罰を減らすよう懇願する。
留美はそれを聞くと
「・・・まずはサイズを測ってから。それから考えるわ。」
サイズを確認したかったのか、そちらを優先する。
「加奈ちゃん?」
「はい・・・里美さん?立って両手を前にしてください。」
加奈がメジャーを持って近寄ってくる。
「え、ええ?」
里美がいきなりの展開にどうすればいいか迷っていると
「・・・早く!!!!」
「は、はいぃ!!!」
加奈のいきなりの怒号にすくみ上がり言われたとおりにする。
どうやら加奈はまだ許してはいないようだ。
「では行きます・・・」
そして加奈が里美の背中にメジャーを回すと
「・・・ひゃく・・・ごじゅう・・・きゅう・・・159cm。」
それはとてつもない数字を叩き出していた。
「・・・すごいですね・・・加奈様よりも大きい・・・」
里美は10日間サイズを測っていなかったのか、自分の胸の成長に笑顔になり、両手で持ちきれないぐらいの重さの胸を揺らしてみる。
だが
―――――――――ブチッ!!
その耳には確かに不吉な音が聞こえていた。
「・・・ほう・・・里美ちゃん、そんなに嬉しそうに・・・」
「・・・・私よりも・・・大きい・・・」
「・・・自分が何をしたか分かっているの?・・・」
里美がその音に気がついて振り向くと
「へっ?・・・ヒィ!!!」
そこには怒り狂った女性が3人立っていた。
「・・・里美ちゃん。減罰を求めてたわよね?」
「・・・は、はいぃ・・・」
「・・・・・・・却下よ。」
「!!!!!」
「・・・これから私達が交代できつーくお灸をすえてあげるわ。」
こうして里美はそれからしばらくの間ずーっと説教をくらうことになった。
「・・・隊長。大丈夫ですか?」
「・・・ほっといてくれ。」
その日の夜、里美の部屋。
状況を偵察に来た部下が窓から里美の様子を見ると、むくれてしまっていてついつい声をかけてしまう。
「・・・おい。」
「ハッ、なんでしょうか。」
「・・・あの薬だが、今後製造を中止しろ。」
里美は思い出したかのように指示を出す。
「・・・? どういうことですか?」
「・・・鬼が出るからな。」
「?? は、はぁ・・・わかり・・・ました?」
「(コンコン)・・・失礼します。里美さん?」
「?! か、加奈様?!」
加奈の突然の訪問に驚く里美。
まだ何かあるのだろうか・・・
「・・・ああ、大丈夫です。留美様や美咲さんと話し合った結果、今回の事はあれで水に流すことにしましたから。」
「そ、そうなのですか?」
恐る恐る加奈を見上げる里美。そこには昔の彼女にあった傲慢さがかけらも感じられない。
「ええ。それより、早くこちらに着替えてください。新しい服が届きましたので。」
加奈が新しい下着とメイド服。それに彼女のための戦闘服も用意していた。
「あ、ありがとうございます!!」
実はあの時から上半身裸で過ごしていた里美。それもそのはず、今では屋敷で一番大きくなったその胸に合う服が無いのだ。
だが、受け取ろうとすると
「・・・ですが、そのくらいの大きさになると普通に着たのでは・・・これから教えますので、その通りに着て頂けますか?」
加奈は机の上にそれらの服を置き、服を一度脱ぎ始める。
「え、ええ・・・」
里美は言われるがままそれを待つ。
「・・・はい。それでは立ってください。」
ブラジャーまで全て脱いだ加奈は里美に起立を求める。