先祖がえり 140
慌てた様子の加奈と美咲。何をどうすればいいか分からずパニックになっている。
「と、とにかくっ!加奈ちゃんはお爺様に連絡してっ!美咲ちゃんは他のメイド達を皆起こしてきてちょうだい!」
留美は慌てて二人に指示を出す。
「は、はいっ!」
「かしこまりましたっ!!」
二人は近くにあった自分の服を急いで着て、部屋を飛び出して行った。
「あぁ・・・コタちゃん・・・大丈夫?」
「・・・ふにゅ〜・・・」
部屋にはヘロヘロの狐太郎と、それを心配そうに抱きしめる留美が残った。
「あなた達!起きて!」
「ほらっ!早く!」
「起きたら食堂に集まって!急いで!」
それぞれの部屋に入って他のメイド達を起こして回る美咲。
そして全員を食堂に集め終わると寝室に向かい
「全メイド、食堂に集まりました!」
留美に報告をする。
「ありがとう!・・・っと、加奈ちゃん!どうかしら?!」
丁度その時加奈も寝室に入って来た。
「今から主要なメンバーと共に本社の医務室に来いとのことです!」
「わかったわ!あなた達はコタちゃんの様子を見ててちょうだい!私の方から直接他のメイド達に説明してくるから!それからこのままだと熱が上がっちゃうわ、コタちゃんに服を着せてあげて!」
留美はそう言うと自分の服を着て食堂へと向かった。
「・・・あなた達、落ちついてよく聞いて。」
「あの・・・留美様、これは・・・」
起こしに来た美咲や、目の前の留美の様子からしてただ事ではないことが起こったようだ。
真由は何事かと留美に聞く。
他のメイド達も不安そうだ。
「・・・コタちゃんが熱を出したわ。」
「「「「「!!!!」」」」」
一斉に目を見開く真由、静香、亜紀、千恵、琴音の5人。
留美は続けて
「・・・今からコタちゃんの様子を診てもらうから・・・真由ちゃん。」
「あ、はいっ!」
「長職全員で向かおうと思うわ。あなたもついて来て。それから千恵ちゃん達は今日は学校に行かなくて良いから、何かあった時にすぐ動けるようにしといてちょうだい。いいわね?」
「「「「わかりました!」」」」
そう言うと留美は真由を連れて狐太郎の寝室へと向かった。
「・・・加奈ちゃん!美咲ちゃん!コタちゃんの様子は?!」
真由は初めて訪れる狐太郎の寝室にキョロキョロしながら一緒になって入ってくる。
「それが・・・」
二人は狐太郎に服を着せた後、ベットの中で寝かすことにしたのだろう。
ベットには狐太郎が寝ており、それを挟むように加奈と美咲が覗きこんでいた。
留美は急いで枕元に駆け寄ると
「・・・んにゅ〜・・・」
依然として体調が良くなさそうな狐太郎を見て
「ああっ・・・コタちゃん・・・」
心配のあまり涙すらこぼれる。
そして
「・・・行くわよ。」
ゆっくりと慎重に狐太郎を抱き上げると本社の医務室へと向かった。
「お爺様っ!コタちゃんの様子はどうなんですかっ?!まさか・・・悪い病気じゃあ・・・」
「落ちつけ留美。安心しろ、ただの風邪だ。」
医務室のベットで横になる狐太郎の様子を見て心配になった留美は源之助に病状を聞く。
そしてそこまで悪い病気じゃないということが分かると
「ああ・・・良かった・・・」
安心してまた涙を流す。
後ろの加奈や美咲も口を合わせて良かったと呟く。
真由は今日初めて狐太郎の寝室に入ったかと思うと今度は木崎コンツェルンの本社内部に来ることになり、また、狐太郎も体調が悪いということで落ちつかない様子でソワソワしていた。
すると
「・・・だが・・・」
源之助の表情に変化があった。
「・・・ど、どうしたんですか?」
留美は気が気でない様子で源之助の話を聞く。