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先祖がえり
官能リレー小説 - ハーレム

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先祖がえり 113

「・・・それで、起きてみたら狐太郎がいなかったと・・・」

留美の電話を受けて屋敷にやってきた源之助。

「はい・・・お爺様、コタちゃんはどこへ行ってしまったのでしょう・・・」

不安を隠そうとせずに源之助に助けを求める留美。

加奈も隣りでソワソワしている。

「・・・それは分からん・・・だが、どうして狐太郎は黙ってどこかに行ってしまったんだ?」

源之助は留美に質問する。

その質問に留美は

「・・・分かりません・・・」

分からない、あくまでそう答える。

「・・・そうか・・・」

手掛かりが無くなったといった様子で俯く源之助。

しかし留美の表情の変化を

「・・・留美様・・・」

加奈は見逃してはいなかった。


「とにかく、狐太郎を探さなくては。留美、心当たりは無いか?」

源之助は頭をあげると留美に狐太郎の居そうな場所を聞き出そうとする。

「・・・学校・・・は、あり得ませんね・・・あるとすれば、コタちゃんのもと居たお家・・・ぐらいでしょうか・・・」

「・・・そうか・・・じゃあわしは本社に戻って狐太郎を探すよう手を尽くそう。お前たちは狐太郎がもといた家に行ってみてくれ。」

「・・・分かりました。」

「源之助様・・・お願いします・・・」

二人は頭を下げると部屋を出ていこうとする。

その時

「・・・留美。」

源之助は留美を呼び止めた。

「・・・はい。」

「何があったかは分からんが・・・今は狐太郎を探すことに専念しなさい。話はそれからでも遅くは無い。」

「・・・・・はい。」

留美は返事をすると加奈と一緒に狐太郎の家へと向かって行った。




「・・・ご主人様・・・いらっしゃるでしょうか・・・」

狐太郎の家に到着した二人。加奈は玄関の前で留美に話しかける。

「・・・分からない・・・でも、今は探さなきゃ・・・」

留美は真っ直ぐ前だけを見て返事をする。

そして

――――――――ガチャ

家の中へと入っていった・・・




「・・・あとはここね。」

家の中を隈なく探したが、残るは後一部屋になった。

「・・・ここは・・・」

「・・・ええ。コタちゃんのお部屋よ・・・」

そう言って留美は狐太郎の部屋の扉を開ける。


そこには


「・・・いらっしゃらないですね・・・」

整理された部屋だけが彼女らの目に映っていた。

「・・・コタちゃん・・・どこ行っちゃったの・・・」

留美は狐太郎のものであろうベットに腰かけるとさっきまで枯れかかっていた涙を再び流し始める。

「・・・留美様・・・」

加奈はその様子をしばらく見つめると

「・・・おや?」

狐太郎の机の上に何かを見つける。

「・・・これは・・・」

それは封筒に包まれた一通の手紙であった。

「・・・留美様、これ・・・」

「・・・手紙・・・かしら・・・」

「ええ・・・読ませていただきますね。」

そういうと加奈は封筒から手紙を取り出し読み上げ始めた。



『お姉ちゃんへ

この手紙を読んでるってことは僕の事を探してくれたんだね。とても嬉しいです。

でも、僕とお姉ちゃんが一緒に居ることは難しいみたいです。

僕が不思議な力を使うようになってから・・・お姉ちゃんは僕のことを怖がるようになったみたいです。

僕はその時のお姉ちゃんの顔が頭から離れません。

いじめられていた僕には分かります。あの顔は、自分ではどうしようも出来ないほどの力を見せられて恐れてる顔です。

僕も小さいころいじめられてて、周りのみんなが怖くて怖くて・・・

でもそんな僕のことを優しく抱きしめてくれた人が居ました。

そう、お姉ちゃん。あなたです。

僕はお姉ちゃんにどれほど助けられたか・・・数えきれません。

でも、今度はその僕がお姉ちゃんを怖がらせてしまった・・・

僕が「真の者」である以上、お姉ちゃんに怖い思いをさせ続けることになるでしょう。

でも・・・僕はそんなの耐えられない。何よりも大切な、お姉ちゃんの事だから・・・

だから僕はお姉ちゃんから離れることにします。

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