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落ちぶれ魔王のハーレム生活
官能リレー小説 - ハーレム

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落ちぶれ魔王のハーレム生活 47

それに対し、ノルは・・・。

ザシュッ!

「!?」
「んぐぁッ・・・!?」

なんとよけもせず、迫りくる手刀を素手でつかみ取った。
つかんだ左手からは赤い血潮が滴り、苦手な神聖属性が傷口ごとつかむ左手を焼き始める。
そのあまりの激痛にさすがの魔王も短い悲鳴を上げずにはいられない。
少女も肉を切らせて骨を断つ行動に出ることはある程度予想はしていた。
しかし折れて弱っているとは言え、神の祝福を受けた刃を素手で受け止めてこの程度のダメージしか与えられなかったことは衝撃以外の何物でもなかった。
だが状況は依然白の少女が優勢のまま。
なぜなら少女にはまだ左手が残っているし、相手は痛みで悶えているからだ。
仮に両手を防がれたところでまだ奥の手がある!
少女は一瞬にしてショックから立ち直ると、すぐさま左の突きをノルの心臓めがけて繰り出した。

「・・・っ、ふんぬっ!」

それに対してノルは残った右手を盾に受け止める。
必殺の突きはノルの手のひらを貫通したものの、指1〜2本出したところで止まってしまう。
これで少女の悪あがきもおしまいか。
否、終わりではない。少女にはまだ最後の攻撃が残されていた!

(死ねッ・・・!)

少女は両手をさらに押し出して魔王の両手を封じると、右足に残されたすべての力を込めて蹴りを放つ。
両手の攻撃はノルの両手を防ぐための、言わば捨て石。

(この渾身の蹴りで下から脳天まで切り裂いてみせ・・・る!?)

ゴッ・・・!!

決死の覚悟で蹴りを放とうとした少女は、突然の衝撃に意識が真っ白になった。
それがノルの攻撃によるものだと理解するのに数秒の時間を要した。

(何だ・・・と?私が・・・蹴る前に攻撃された?バカな!両手をふさがれたあの状態でどうやって・・・!?
 まさか、アイツも私と同じを事を考えて・・・!?)
「いっ・・・つ〜〜〜ッ!なんて石頭してやがるんだよ、アンタ!!気絶するかと思ったよっ!?」

そう言われて少女はようやく理解した。
自分が、ノルに強烈な頭突きをかまされたのだということを。
弧を描くように放つはずだった蹴りとほとんど直線の軌道で放たれた頭突き。
距離の長さから見て、どっちが先に当たるかなんて言うまでもないだろう。
しかしそれを知ったうえで少女はまだ納得できなかった。
なぜなら少女はあらゆる魔物を滅ぼす、聖なる祝福を受けた剣・・・言わば鉱物だ。
ヒトの形をとっているとは言え、生身の人間(魔物)がそれを打ち壊せるはずがないではないか。
いったいどうやって・・・?
少女は必死に頭を働かせるが、予想外の衝撃を受けた頭脳のダメージは深刻で。
とても考えるだけの余裕はなかった。
思わぬ攻撃で吹っ飛ばされた白い少女は何とか立ち上がろうとあがくが、身体は鉛のように重く、うまく力が入らない。
まるで生まれたての動物のように何度も立ち上がろうとしては転んで地べたを這いつくばる。
一方、予想以上の石頭に痛い思いをしたノルのほうは圧倒的に優位な立場にいた。
神聖属性による傷はいまだ完治することなく、じくじくと痛みを訴えている。
しかし指を失うような大きなダメージではない。
発情期を迎えた魔王としての途方もない魔力が、ダメージを最小限に抑えてくれたようだ。
ノルは頑丈に産んでくれた両親に感謝しつつ、ゆっくりと少女へと足を進める。
自分が勝ったことを思い知らせるためだが、それだけではない。
あのような無様な姿をさらしてなお、自分に殺意を向ける少女を警戒してのことだ。
戦い・・・否、狩りにおいてもっとも重要なことは油断をしないこと。
油断して獲物となるはずの相手から手痛い反撃を食らったり、逃してしまったりすることなどよくある話なのだから。
そして魔王の少年はついに白の少女に王手をかけた。
少女の敵意はいまだ消えることはないが、さすがにここからの逆転はできないと悟ったのだろう。
彼女はもうムダな抵抗はしなかった。

「・・・殺せ。さもなくば私は何度でもおまえを殺しに行くぞ」

おまえの軍門に下るつもりはない。
きっぱりとそう言ってから、少女は大の字になって目を閉じた。
とどめを刺せという意思表示だ。
それは少女の見せる最大限の譲歩でもある。
ここで殺さなければ、彼女は宣言通りノルを殺しにかかるだろう。
だがノルは最初から彼女を殺すつもりはない。
いい女だったから抱こうと思っただけだ。
しかしそんな彼の不埒な思いは少しだけ形を変えつつあった。
敗北し、手ひどく犯されてもなおあきらめずに自分を殺そうとしてくる彼女を、この少年魔王はこともあろうに気に入ってしまったのだ。

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