悪魔の処女狩り 1
もしも、江戸幕府が続いていてまだ大奥があったとしたら。
もしも、その将軍に悪魔が取り憑いていたら。
そんな、不思議なパラレルワールドで繰り広げられる悪魔の暴走。
舞台は大奥。
「上様、今宵こそは伽を受けて頂きます。」
江戸幕府、○○代将軍は今日も大奥総取締役に詰め寄られていた。
「いや今日はちょっとその。。ほら明日行くから。ね?」
またですか…と言う呟きを聞かないふりをして、奥の部屋に逃げ込んだ。
世の最高権力者とあろう者が盛大な溜め息をつく。
数え年で18になったばかりの上様こと克也。
なったばかりでしきたりはわからない、言葉使いは出来ていない毎日悪戦苦闘しているというのに。
「あげくに、子作りしろって何!?」
あぁっ俺、絶対無理っと頭をかき乱す。
生まれた時から江戸城暮らし。周りは当たり前のように丁髷姿。
俺は絶対やだかんねと、丁髷にはせずのばしっぱなしである。
それでもなれちゃう将軍様。長く続いた平和な世のおかげだろうか。
少々のわがままも通るのが不思議である。
「でもさ、流石に子作りはしないとヤバいよね。跡継ぎ…作らないと。」
何代も続いた徳川の世を潰すわけにはいかない。俺の代でついえたら末代まで祟られる!?
子作りはしたい。
俺だって年頃の男の子だもん。
ただ…。。
「自信無いんだよね。。俺、ほらだって初めてだし?」
あらちっちゃいわね、何て鼻で笑われたら立ち直れない〜。
何て一人悶々と、時には声に出しながら悩みながら布団に入った。
「明日こそはやらないとな。。頑張れ、俺。」
そのままぎゅっと目をつむり入眠体制に入った。
入った、入ったつもりが…。
眠れない。
あぁっもうと布団を蹴り飛ばし、ゴロゴロと部屋の中を転がった。
ガツッ
何かに思いっきりぶつかった。
目の前に見えるは黒の靴。
………靴!?
慌てて視線を上に向ける。
暗い中でもうっすらわかる微笑。
「ご機嫌麗しゅう上様。」
あり得ねぇ状況、理解出来ない人物。
俺の意識はブラックアウトした。