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淫蕩王伝
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝 97

 純一は言いたいことを言うと、風を呼ぶ。だが、まだ紅音のことで顔をこわばらせる彼を見て、仕方なしにポケットを弄る。
「これ、やるよ」
 彼は携帯電話を取り出すと、リュウジュに向かって投げる。ついでに携帯型の予備電源も放る。
「俺もまだ未練あったんだな。ま、失恋っての、思ったよりダメージでかいし? 別の先輩から三万でもらったけど、お前見てたら吹っ切れそうだわ。お礼にくれてやる」
「これが、何?」
「マイクロSDに見たくねーもん入ってる。俺も趣味悪いと思うし、未だに削除しないとか自分のことキモイと思った。けど、お前がまだ引きずって聖都に来る気持ちなくしても困るし、やる。ただ、あんま電池ないし、ほとんど再生できないかもしれないけど、そんときはそんときだ」
 純一が寂しそうに言うのは、懐かしい友人を前にまだ残る人間らしい気持ちからだろう。暴力的なことをのたまっても所詮は中学二年の男子にすぎず、友人を前にそれを捨てきれずに居たとしても不思議ではない。
 まだ未練があるも、純一は風になると空へと消えた。
 残されたリュウジュは、久しぶりに触る携帯電話と予備の電池パックを手にし、呆然としていた。


「なぁ、本当なんか?」
「ああ。まじでアイツらヤリまくりらしいよ。つうか、紅音ちゃん、可愛い顔してえげつないわ……」
「つか、紅音さあ、アイツのことぶっちゃけ好きだったの?」
「いや、どっちかって言うと龍樹が居なくなってさ、その寂しさでころっといったみたい」
「へぇ……。じゃあ俺にもチャンスあったかな?」
「いや、お前じゃ無理じゃね?」
「うっせー、じゃあお前はどうなんだよ!」
「ん〜、俺も無理かな? つうか、傷心の女の心にツケイル? アイツもよっぽどえげつねーよ」

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