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淫蕩王伝
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝 96

「ああ、そういやそうだな。暫くは不安そうだったぜ? ただま、先輩と付き合うようになってからはかなり落ち着いてた。それが俺の失恋の原因だったけど、しゃーないわな」
 吹っ切れた様子の純一は昔を懐かしむように遠い目で空を見る。しかし、心のどこかで紅音のことが気にかかっていた龍樹はそうなれない。
「先輩と? 紅音が? どうして付き合うの?」
 胃がでんぐり返るような言葉と、信じられないという気持ち。かつての女友達が、自分のいない間に他の男と付き合っているなどと、どうして受け入れられようか?
「いや、だから、それは本人に聞いてくれよ。っていうか、お前だって別にそういう関係じゃなかったじゃん。お前と紅音はただのお友達。俺より仲のよい、ただのお友達。しょうがねーだろ?」
 といっても龍樹と紅音はただの友達という関係。純一よりやや親密という程度であり、恋仲とは言えない間柄だった。
「だって、紅音は……」
「だからさ、そういうのは早いもの勝ち。勝手にこんな世界に旅立って来て、戻ろうとしないお前が悪い。というか、お前全然もとの世界に戻ろうとしてないもん」
「だって、戻る方法なんて……」
「あるよ」
「ある?」
 さらりと言い放つ彼に龍樹は目を丸くする。それが彼を騙す嘘ではないかと疑いつつもすがるように純一を見る。
「ああ。一応ある。ま、俺は戻る気ないけどな」
「純一、それを、それを教えてくれよ」
「ん〜、つうか、戻ってどうするんだよ? ここにいればやりたい放題できるんだぜ? おまえだって散々女とやりまくってきたじゃん」
「僕は、元の世界に戻れるなら戻りたいよ!」
「どうして?」
「だって、紅音が……」
「だから、アイツはお前のこと忘れて先輩と付き合ってるの。っていうか、元々お前ら付き合ってねーじゃん。フリーな女がフリーな男と付き合った。それだけのことじゃんか」
 諦めの悪い友人を諭す彼は、魔族というよりも同い年の、いつもの教室でのじゃれあうようなくだけた雰囲気を醸す。
「まったくお前は救いようのないバカだな。それじゃあ追っ手が来ないうちに消えろよ? 俺もいつも助けにきてやれるわけじゃないしよ。ああ、それと。もし俺と同じく魔族になるって言うんなら歓迎する」

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