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淫蕩王伝
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝 93

「覚えてないか? ま、俺もかなり変わったからな。相良。相良純一だよ」
「相良……純一……?」
 この世界にきて懐かしい響きに一瞬戸惑う。そして思い出す、かつての日々。
 相良純一は龍樹の同級生であり、かつて一緒に道場で汗を流した仲間だ。
 紅音と純一と自分の三人での懐かしい日々が脳裏を過ぎる。
 師範に怒られ、先輩にかつがれ、一緒に宿題をしたり、お祭り、クリスマス会、初詣にいったり……。
「純一! 純一か!」
「ああ、懐かしいな、龍樹。つか、本当にお前なんだな。髪の色とか全然違うし、今の今まで半信半疑だったわ」
 立ち上がろうとする龍樹に純一は手を差し伸べる。ぱっと見た姿は変わっているが、黒縁眼鏡と短髪、逆三角形の顔立ちは変わっていない。
「ふふ……」
 純一は優しそうな微笑を浮かべた後、その手を払う。
「勘違いしてんじゃねーぞ? 俺がお前を助けたのはここで死なれると困るやつがいるからだ。まだ平和ボケしてるみてーだから教えるけど、俺はお前の敵だ」
「敵? 魔族だから?」
「それもある。だが、それだけじゃねー。俺はな、お前がムカツクんだよ」
「ムカツク? どうして?」
「どうしてだと思う? わかんねーよな? ぎゃはは……。俺はさ、ずっとお前が羨ましかったのさ」
「羨ましい?」
「ああ。だってそうだろ? 勉強でも剣道でもなんでもてめえは俺のずっと先を行ってやがる。俺がどんなに苦労してもぜってー越えられない壁なのさ。悔しいなんてもんじゃねーさ。どれだけ惨めだったと思う? わからねーよな。お前、昔から本当に他人の気持ち考えるの苦手だったしよ」
「そんなこと、ない。僕は、純一とも仲良く、紅音と三人でいつも……」
 思い起こす憧憬。しかし、よくよく思い出せば、紅音は自分の隣に居て、純一は二人の後ろを着いてくる。たまに思い出したように話しかけたとき、テンションを上げて早口で喋る純一がいた。
「俺さぁ、紅音好きだったんだ」
「好き?」
「ああ。片思いさ。ま、お前も似たようなもんだろ? 俺は半分諦めてたさ。んで、お前が居なくなってからチャンスあるかもって思ったさ。はは……ちきしょう……」
「なんだよそれ……。わけわかんねーよ。どういうことなんだ?」
「ああ、まあ失恋したのさ。そして絶望してたら、ある日この世界に来てたってわけさ。おかしなもんだよな。俺やお前に何があったんだろうな? 何したっていうんだろうな? こんなヘンテコな世界に落とされてよ……」

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