PiPi's World 投稿小説

淫蕩王伝
官能リレー小説 - ハーレム

の最初へ
 88
 90
の最後へ

淫蕩王伝 90

 リュウジュが連れて行かれたのはサッカー場の半分ぐらいの広場。観客席がそれを囲い、血気盛んな人々が今日の娯楽を求めて声援を送る。
 広場にてようやく枷を外されたリュウジュは、一振りの剣をあてがわれる。
 愛用の種大よりも大きく、そして重いそれは、中学二年の彼には扱いづらい代物。オマケに刃には刃こぼれ、ヒビが見え、切れ味も打撃にも不安な出来であった。
 剣を構えるというよりは剣を支えに立ち上がるリュウジュ。するとドラが鳴らされ、進行が声を張り上げる。
『さてさてお立会い。本日、続く試合は無謀にも異界の光を名乗る不届き者、リュウジュだ! こいつは売女達と旅をしている人身売買のクズ野郎だ! 関所で兵士に女をあてがって突破しようとしていたところをエリー様に捕縛された情けない男だ! こんなゴミ野郎だが、それにすら哀れみをかける我らが麗しの姫君、ディアナ様。しかし、コイツはそのディアナ様にあろうことか自分のちっさなイチモツを曝しやがった! これを許せるか!』
「死ねー」
「クズー」
「女の敵!」
 進行の煽る物言いに観衆達は口々に罵りの声をあげ、手元のゴミをこれでもかと投げつける。
『許せるはずねーよな! 本当なら俺があのほそっこい首をこきゃっと絞めてやりてーさ。そりゃもう晩飯にあげるチキンのようにさ。けどそうはいかねえ。無法に無法を尽くしては、おいらが次のターキーさ! しゃーねーからこいつを裁くのは我らが英雄、女傑にしておいらの心の女神、エリー様にお任せしよう!』
「エリー様!」
「おまえの女神じゃねー」
「つか、てめーも絞められろ!」
 観衆は素性の判らぬ小汚いリュウジュよりもエリーへの黄色い声援、そして進行への悪態を声高にする。
 沸き立つ歓声の中、リュウジュの対面の道からエリーがやってくる。彼女の勇姿を称える声が試合会場を揺るがす。
 エリーは観衆に手を振りながら笑顔で試合会場へと足を運ぶ。しかし、リュウジュを前にすると、すぐに真剣な表情になり、睨む。そこには怒りなどはなく、ただ敵を討つという強い意思だけがあった。
『さて、一本限りの真剣勝負。もし本当に狼藉小僧が異界の光なら、女傑にして護国の英雄、エリー様を打ち倒してみせろよ!? ま、ぶっちゃけありえない?』
 進行はなおも煽るが、エリーの冷たい威圧感に飲まれ、観衆たちは皆二人の間に声を上げることが出来なくなる。

SNSでこの小説を紹介

ハーレムの他のリレー小説

こちらから小説を探す