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淫蕩王伝
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝 89

「どうだ? 怖いか?」
「ぐ、ぐぅ……」
 悔しさと死への恐怖で言葉がでないリュウジュ。
「この下種が!」
 エリーは鉄格子を革靴で思い切り蹴ると、隣の兵士から鍵を奪い取る。
「しかしだ……。貴様にはチャンスがある。例の尼、アナシアに聞いたぞ? 異界の光なんだって? 例の剣、種大だったか? 貴様のような下種が持つには勿体ない代物だな。どうせどこかで盗んだものだろう。そうなんだろう?」
 エリーはリュウジュの頭を踏みつけると、ぐりぐりと踏みにじる。
「ぐう、痛い、痛いです!」
「ふん! そんな答えは期待していない! どうなんだ? 答えろ!」
「あ、あれは僕のです。僕のなんです!」
 もし盗んだものだと正直に言えば、「チャンス」ごと失いかねない。リュウジュは必死にそう叫ぶ。
「ふん、たとえ盗品であったとて、はいそうですなどと貴様のような下郎が言うはずも無しか……。まあいい。続きだ。チャンスと言ったが、まあ期待するなよ?」
 にやりと嗤い、エリーはリュウジュの銀髪を掴んで耳元で言う。
「ディアナ様が貴様を哀れんでな。そして教会の連中も、もし異界の光というのなら、このまま処刑することはできないと言い出した。おかしな話だ。貴様のような下品で下劣なものがどうして異界の光だといえる? たかが剣の一振りが貴様の素性を保証してくれるはずがないだろう。ふん、とはいえ、ディアナ姫や教会の意見を無碍にもできんからな、貴様が真に異界の光なのか、試してやる」
 エリーはそれだけ言うと、泥水に汚れた銀髪を離し、ハンカチでそれを拭うとそこらに放る。
「貴様を異界の光かどうか見定めるために試合を行う。さっさと立て!」
「え、今すぐ……?」
「当たり前だ。本来ならここでこのまま亡き者にしてやりたいのだぞ? 私は! だが、暗殺となればディアナ様も貴様への哀れみの気持ちを持ったままとなる。ならば貴様が異界の光ではない、ただの風来坊に過ぎぬことを示し、目を覚まさせるのも必要だ。それが貴様のこの世で最後の仕事だ。何、所詮は異界の光ではない狼藉者だ。消えたところで問題はない」
「せめて一眠り、腹もすいたままだし……」
「連れて行け」
 リュウジュの願いなど聞く耳持たず。エリーは彼に振り返る様子もなく兵士に先立って行ってしまった。
 リュウジュは無理やり立たされると、枷も外されることなく担がれながら牢屋を出た。


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