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淫蕩王伝
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝 64

「ウフフ…無駄よ!こんな攻撃が私に効くと思ってるの?」
襲い来る十数の矢をいとも容易く避けていくヒルデ。
「まだまだぁ…!!」
尚も矢を射るサラ。
「だから無駄なんだって…」
ヒルデが最後の一本をかわした時だった。
「喰らえ!!!」
「な…っ!?」
サラの短剣がヒルデの頬をかすった。
サラは最後の矢を放った直後、ヒルデが矢を避けた際に来るであろう位置に向かって短剣を突き出していたのだ。
相手の動きが早過ぎて狙えないなら、誘導してその到達予測地点を狙えば良いのだ。
口で説明すると長いが、実際は一瞬の内の事だった。
それでもサラはヒルデにかすり傷しか負わせる事が出来なかったのだ。
「…よくも私の顔に傷をつけてくれたわねぇ…」
ヒルデは頬を伝う一筋の鮮血を指で撫で取るとサラを見た。その瞳は先程までのどこか間の抜けた様子とは打って変わって、見ているだけで背筋が凍り付きそうな目だ。それはまるで肉食獣が獲物を狙うような目つきだった。
「フ…正に文字通り一矢報いる事が出来たという訳だ…」
そんな状況にも関わらずサラは笑って言った。
そして再びヒルデに向けて短剣を構えた。
彼女はまだ戦う気なのだ。
今のはヒルデが油断していたためであり、本来なら力の差は歴然。当然、それはサラ自身も分かっている。まだ若い(エルフとしては)とはいえ彼女も戦士なのだ。
「決めたわ…あなた達エルフには手を出さないつもりだったけど、あなたはここで殺してあげる」
トロルの血が滴る爪を舐めながら言うヒルデ。
(いけない!サラさんは死ぬ気だ!!)
リュウジュはサラの思惑に気付いた。昨夜、彼女が樹の下で「戦いの中で命を落とす事は誇りだ」と言っていたのを思い出したのだ。
「サラさん!!死んじゃダメだぁ!!!」
リュウジュは力の限り叫んだ。
サラはそんなリュウジュの方を見て少し笑った。
(リュウジュ…後は任せたぞ。フィオ達を…里の皆を頼む)
その心の声は確かにリュウジュにも伝わった。
「ちがあぁー――うっ!!!!」
リュウジュは叫びながら腰の種大を抜いた。
「な…何!?」
光輝くその刀身にヒルデすら思わずたじろぐ。
「それはちがうんだあぁー―――っ!!!!」
リュウジュはヒルデ目掛けて渾身の力で種大を振り下ろした。
種大から発した残光は地を抉り木々をなぎ払いながらヒルデに迫った。
「ヒイィ〜!!?」
すんでの所で避けるヒルデ。しかし、翼の先が少し焦げてしまった。
「そ…その力…あなた…まさか伝説の勇者…異界の光!!!?」
「だったらどうする!?」
凄むリュウジュ。
「い…嫌ぁ〜!!!冗談じゃないわよぉ〜!!!!」
ヒルデは一目散に飛び去って行った。

リュウジュは種大を鞘に収めるとサラの元に駆け寄った。
「サラさん!!」
「リュウジュ…」
サラはヘナヘナとその場にへたり込んでしまった。
「はは…どうしたんだろう?今になって手足が震えてきた…」
リュウジュはそんな彼女の頬を思いっきり張った。パシッという乾いた音が辺りに響いた。
「サラさんのバカ!!何であんな無茶な事したんだ!!?サラさんの言う“誇り”は死に急ぐ事なの!!!?」
言いながら、リュウジュの目からは大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちてきた。
「リュウジュ…済まなかった」
サラは頬を押さえながら頭を垂れ、そう一言だけ呟いた。
一方、ライアはヒルデが去り際に残した言葉に戸惑いを隠せなかった。
「リュ…リュウジュがあの異界の光だってぇ…!?マジなのかぁ…!!?」
そこへ…
「皆さぁ〜ん!大丈夫ですかぁ!?こちらのトロル達は残らず討ち取りましたよ〜!」
アナシアとエルフの戦士達が洞窟を抜けてやって来た。
こうして、この戦いはエルフ達の勝利に終わったのであった…。


その晩、エルフの里では祝いの宴が催され、皆は勝利の杯に酔った。
昨夜と続けて連日だが、こんな場合だ。許されるだろう。
「なぁ…」
ライアは杯を傾けながら隣のアナシアに話しかける。
「何ですか?も…もうお酒なんていくら勧められても飲みませんからね!?」
「いや、そうじゃなくてさぁ…」
「…?」
「ここじゃあちょっと話しにくい事だ。人の居ない所に行こう」
ライアとアナシアは連れ立って席を立った。

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