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淫蕩王伝
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝 62

「あれは…!!」
ライアもすぐに異変に気付いた。
煙の向きがおかしいのだ。
アナシアの魔法によるものだとばかり思っていたが、それだけではない。どうも洞窟の中から吹き出してくる対流があるようだ。

「射て!射て!女達をとりもどすんだ」
一見効を成している燻り出し作戦に、次々と矢を射るエルフの戦士達。
だが歴戦の戦士であるライアは、二日酔いに痛む頭の隅で必死に考えを巡らせていた。
(あの洞窟…見た所、大した広さは無さそうだ。図体のデカいトロルが100匹も中に入れるとは思えない。しかも浚ってきたエルフの女達を閉じ込めておくスペースも必要だ。仮にそれだけの空間があるとして、そんなに広い洞窟なら中の空気の循環はどうしてるんだ…?)
リュウジュも同じ事を考えていたらしく、ハッと気付いたように言った。
「…もしかして洞窟じゃなくてトンネルなんじゃ…!?」
「そうだよ!!ここだけじゃない!きっと他にも出入口があるんだ!!」
矢の雨を逃れたトロルを斬り伏せながら叫ぶライア。
「だとしたら…いけない!こっちで迎え撃ってる隙に本隊に逃げられるかも…!!」
リュウジュは矢の降り注ぐ中、洞窟の方へと走って行った。
「リュウジュ!!…ったくもう!あのバカ」
ライアもリュウジュの後を追い、洞窟の中へ入って行った。

洞窟の中には腐臭が漂っていた。精液と愛液、汗と排泄物の混じった臭いだ。
煙と悪臭に耐えて洞窟の中程まで来た所で、リュウジュは自分に向かって吹く風を感じた。
その辺りから煙は徐々に晴れていった。
「うっ…これは…!!?」
思わず絶句するリュウジュ。
そこにあったのは無惨なエルフの女達の屍だった。

首をへし折られて死んだ者。
手足を引きちぎられて死んだ者。
輪姦されている途中で衰弱死したと思しき者。
トロルの巨大な胎児を産みかけで悶死したと思しき者もいた。
それは正に惨状だった…。

「おい、リュウジュ!」
追い付いて来たライアがリュウジュの頭を小突いた。
「いきなり単身で洞窟に飛び込んで行きやがって…心配したんだぞ。それより残りのトロル共はどうしたんだい?まだ半分以上は中に居るはずなんだが…」
「いや、居なかったよ…逃げたんだ」
「そうか…やっぱりここは洞窟じゃなくてトンネルだったんだね…」
ライアは眉をしかめながら言った。
「…トロルは本来、こんな穴蔵に住んだり、集団で村を襲って女を浚うなんて真似はしないんだ。この集団を統率している何者かがいるはずだよ」
「…黒幕ってこと?」
「黒幕だと!?それは本当か!!?」
突然、二人の後ろから怒りに満ちた怒鳴り声が聞こえた。驚いて振り返ると、そこに居たのはサラだった。
「サラさん!?」
「何だ。アンタも付いて来てたのかい?」
サラはワナワナと震えながらライアの肩を掴み、鬼気迫った様子で尋ねた。
「そいつはどこに居るんだ!!?教えろ!!!」
「落ち着きな!仲間が酷い目に遭わされて腹立たしいのは分かるが怒りは禁物だよ!」
ライアにたしなめられ、手を離して詫びるサラ。
「す…済まない…。今の私は、どうも冷静ではないようだ…」
「それで良い。冷静じゃないって事を把握出来ただけでも上出来だよ」
「…で、どうする?やっぱり元凶を放っておく訳にはいかないよね」
リュウジュは種大の柄を握り締めて言った。
「もちろん追おう!」
「己の所業をタップリ後悔させながら地獄へ送ってやる…!!」
三人は洞窟の更に奥へと走った。わずかだが遠くに小さい明りが見える。
「外の光だ!あそこがもう一つの出口だよ!!」
逃げ惑うトロル達を一刀の下に薙ぎ倒しながら、三人はその光を目指した。

「クソッ!小癪ナえるふ共メ!!セッカク新タナ偉大ナル種族ノ母トナル栄誉ヲ与エテヤロウト思ッテイタノニ…!!!」
洞窟の出口近くでは、一匹のトロルが憎々しげに悪態を吐いていた。彼は他のトロルと大して変わらぬ容姿をしていたが、ただ一点…頭部だけが大きく異なっていた。脳が肥大化してコブのように盛り上がっているのだ。
「貴様等ダケデモ連レテ逃ゲル!新シイ女ト子分ハ、マタ集メレバ良イ!!」
そう言うと彼は左手に握っている鎖を強く引いた。
その先は数人の裸のエルフの女達に着けられた首輪に繋がっている。
彼女達は皆、トロルの仔を孕んでいるらしく、大きな腹を抱えていた。
「ひいぃ…っ!!?」
「嫌ぁーっ!!!」
痛みに悲鳴を上げる女達。その内の一人が転倒した。
「キャッ!!!」
「コラッ!!何シテル!?早ク立テ!!!」

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