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淫蕩王伝
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝 57

アナシアは宴会場のど真ん中で人目もはばからずに法衣を脱ぎ捨ててオナニーを始めてしまい、それをライアが大笑いしながら見ている。
「あの二人は明日は使えんな…」
そう言うと長老は手にした木製の酒器をグイッと飲み干した。

リュウジュとサラは宴の場から離れ、人気の無い場所にやって来た。集落自体が森の中にあるので少し離れると本当に真っ暗で、宴の喧騒が遠ざかると、虫の声や木の葉の音がした。
「済まんな。飲めない酒に付き合わせてしまって…」
「良いんですよ…うぅ…」
とは言うもののリュウジュの足取りはフラついていた。
「この先に大きな木がある。そこで休もう」
少し行くとサラの言った通り、一本の巨大な大樹があった。小高い丘の上にあり、周りには木が無く、そこだけ拓けている。
「うわぁ…大きな木だなぁ…」
リュウジュはその巨大さに、しばしの間、酔いを忘れて見入った。北欧神話に出て来る世界樹というのは、きっとこんな感じなのだろうか…。
「この樹は私達の護り神なんだ」
「護り神?」
「正確には樹に宿る精霊だ。私達エルフは里ごとに護り神となる樹を持っていて、その樹と共存関係にある。樹は見えない力でエルフを護り、エルフは樹と周りの森を護るのだ」
「へぇ…」
リュウジュは再び樹を見上げた。それは本当に何か神聖な力を宿しているように見えた。
「エルフと樹は共にある。神聖だが身近な存在だ。私自身、幼い頃はいつもこの樹に登って遊んでいた…初めて男女の交わりを知ったのもこの樹の下だった」
「サラさん、恋人がいたの…?」
サラは少しうつむいて、黙って首を横に振った。
「彼はもう居ない…この樹を切り倒して売ろうとした人間共と戦い、樹を守って命を落とした」
「ご…ごめんなさい…」
「なぜリュウジュが謝る?もう40年以上も前の話だ。気にするな」
彼女の心の内では既に納得しきれた話のようだった。
だが、わずかに幼さを残した10代の娘にしか見えない女の口から「40年」という言葉が出て来るのは何とも妙なものだった。
しかし、不思議と違和感は無い。
それは彼女が身にまとった雰囲気とでもいうもののためだろうか。
それは確かに数十年の年月を生き抜いた者のものだった。

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