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淫蕩王伝
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝 49

彼の手には小さなナイフが握られていた。コッソリ縄を切って逃げるタイミングを伺っていたのだろう。
ゲズマは側に停められていた馬にサッと跨ると、見る間に走り去ってしまった。
「待てぇー!!ゲスオー!!!」
ライアはゲズマの去った方角に向かって叫んだ。すると木霊のように
「ゲスオじゃねえぇー…!!」
という返事が返ってきた。

「チクショ〜!!!逃げられちまったよ!」
地団駄踏んで悔しがるライア。
「仕方ない…まあ、これだけ痛い目を見たんだ。もうこの辺には戻って来ないと思うよ。それより倉庫の中に食糧と財宝の山があったんだ」
「なに、財宝!!?」
財宝と聞いたライアは少女のように目を輝かせた。
「まあまあライアさん、落ち着いて…宝はこの村の復興のために使ってもらおう?」
「私もそれが良いと思います」
「えぇ〜…ちょっとぐらいもらっても…」
リュウジュの提案にアナシアも賛同したが、ライアは不服そうだった。
村人達は言った。
「そういう訳にはいきません!皆さんは私達の村の恩人です。せめて半分だけでも…」
「でも僕達は旅を続けなきゃなりません。馬車も無くなっちゃったし、お金なんてそんなに持って行けませんよ」
「じゃあさリュウジュ、持てるだけでも…」
「ライアさん!」
「ちぇ…分かったよぉ」
しぶしぶながら納得するライア。
「リュウジュ…行っちゃうの?」
寂しそうな表情でリュウジュに尋ねるエレン。その瞳には涙が浮かんでいた。
「うん…」
「また会えるわよね?」
「うん!必ず会いに来るよ!」
リュウジュは力強く頷いた。エレンはリュウジュに近付いてそっと耳打ちした。
「…その時はまたお母さんと三人でしましょうね」
「そ…そうだね」
その光景が思い浮かび、リュウジュは思わず股間を固くした。
かくして三人は再び聖都を目指して出発したのだった。



村を出た三人は徒歩で街道を進みながら話し合った。
「馬車でも三ヶ月かかる聖都まで歩いて行くとなると、一体どれぐらいかかるんだろう…?」
「そう悲観する事は無いよ。近道すれば良いのさ」
「近道って?」
「森を突っ切って行くんだよ。私達の今いる位置からすると、まっすぐ森を抜けて行けば聖都の近くに出るはずだ」
逆に馬車が無いからこそ行ける道という訳である。しかし、アナシアは反対した。
「も…森の中を歩いて行くですって!?それは危険すぎます!自殺行為ですよ!?」
地図もコンパスも無い状態で深い森の中に入って行くという事は大変危険だ。
方向音痴の彼女でなくとも反対するのは当然である。
「でもこのまま街道を歩いて行ったら、聖都まで着くのに半年はかかっちまうよ。まぁ私に任せときなって。こういう裏道には詳しいんだから!」
「アナシアさん、ここはライアさんの言う通りにしてみようよ。何だかんだでライアさんが一番旅慣れてるし…」
「…リュウジュさんがそう言うなら…」
アナシアは渋々納得した。

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