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淫蕩王伝
官能リレー小説 - ハーレム

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淫蕩王伝 110

 彼の顎が動いたのを紅音は感じ、頷き、立ち上がる。
 守は鞄からコンドームを取り出し、包みを開ける。するとそれを紅音の手が遮る。
「ね、今日はそれしないでしよ? 生のほうが気持ちいいんだってよ?」
「紅音、それは駄目だ」
 その手を掴み、彼女に圧し戻す。
「なんで? いいじゃん。今日は安全日だし、私、生理周期安定してるし、中に出ても平気だよ。それに守だってしたいよね? 私と生でエッチして、中出し……」
「うん」
「なら!」
 彼の頷く声にぱっと顔を明るくする。けれど、彼の顔は真面目で、どこか悲しそうに彼女を見返す。
「けど駄目だ……」
「なんで?」
 その真摯な態度にただダダをこねるのを止める紅音は、膝に手を伸ばし、続きを急かす。彼は少し考えたあと、そっと頭を下げてから続ける。
「エッチ……しちゃっておきながらこんなこというのおかしいけどさ。お前のこと、本当に大切にしたいんだ。もし万が一、紅音を妊娠させたら俺は後悔すると思う」
「なんで? 私、守の子供ならいいよ?」
 彼の強く握られた手に自分のを重ねる。その言葉に嘘はなく、本心からのものだった。
「その気持ちは嬉しいよ。けど、そうすると、紅音は青春っていうかさ、そういう楽しい時間を制限されるんだ。俺と一時の快楽に溺れて、紅音がしたいこと、できなくなるかもしれない」
 彼はその手を握り返し、それでも頷くとはしない。
「したいこと? 私は守と一緒に居たいし、それだけでも十分幸せだよ」
「うん。俺だって紅音と一緒に居たい。けどさ、高校に行って、大学や専門学校、アルバイトしたりさ、その時じゃないと出来ないことってたくさんあると思う。そういうのを今ここで出来ないようにしちゃうのって駄目だと思う。あの時ああしていれば、こうしていれば。そう思いたくない、思わせたくないから、俺はお前とコンドーム無しでエッチしない。せめてそれだけは守らせてくれ」
「けど、アフターピルだって……」
 それでも食い下がる紅音の手を強く握る。それは痛いぐらいのはずだが、紅音はぽっと心が温まる気がした。
「そういうの駄目だよ。ピルって結構身体に響くみたいだし、もし聞き分けがないようなら、俺は我慢する」
「え? エッチしないの?」
「うん」
「そんなのヤ。ヤダよ。マモル、そんなこと言わないで?」

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