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勾玉キッス☆
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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勾玉キッス☆ 96

『これは私の勘なんだけど、例の塚の封印が解かれたかもしれないわね』
「まだ確証はありませんが、おそらく」
『………そうなると、事態は少しまずいことになるわね。
 分かった。大至急調べておくわ。このことは、私から上に報告しておくから。近い内に、局長から正式な命令が来るはずよ』
「調べ物はいつ分かりますか?」
『…明日の昼には書類が届けられるかしら』
「もう少し早くなりませんか?」
『……しょうがないわね。今日の夕方にファックスで送るから。送り先は……』
「茶道部部室でお願いします」
『了解。すぐに取りかかるから』

 言うなり、電話が切れた。
 私は“通話切”ボタンを押すと、携帯電話を制服のポケットにしまいこんだ。

『ただ者じゃないって思ってたけど、森崎君、そういう人だったのね』
「……あれ? 見られちゃってた?」
『ばっちり』
「うかつだったなぁ。ミヤビの存在をすっかり忘れていたよ」

 私は額に手を当てて、自分のミスを嘆いた。
 目の前には、霊体として宙を浮いているミヤビがいる。
 そう。ミヤビは[消えた]のではない。[見えにくくなった]だけなのだ。


「天野さんと桐生さんには言わないでいてくれる?」
『それは構わないけど、いつまで裕美さんと雅ちゃんに黙っているつもり?』
「……桐生 雅が、桐生 雅章と同一人物であるという証拠が固まるまで」
『なっ!?』

 ミヤビが明らかに動揺している。どうやら、私の憶測は当たりらしい。
 覚悟を決めたのか、ミヤビは口を開いた。

『…いつ、気がついたの?』
「おかしいと思ったのは、転校生として入って来た時。そうじゃないかと思ったのは、ミヤビと天野さんの会話を聞いていて。
 でも、決定的と言える証拠がない。今のままでは、ただの言いがかりでしかないわ」

 その時だった。
 ブロンズ像のように固まっていた幻姫がガタガタと揺れ始めた。
 封印が破られる。私はそう直感した。
 まるでゆで卵の殻をむいていくように、青銅色の皮膚のようなものがポロポロとはがれ、中から幻姫が現れるまで、大した時間はかからなかった。

「…はぁはぁ…ぜぇぜぇ…どう? 貴方が仕掛けた封印、破ってあげたわ」

 封印を破るために全ての力を使い切ったせいか、幻姫の息が荒い。今の幻姫は、歩くだけで精一杯のはず。
「今のあんたには、歩くだけで精一杯のはず。これ以上は止めておくことね」
「私もなめられたものね。貴方を殺すことぐらい、まだ出来るわ」
「同じこと、二度も言わせないで」

 私はヒップホルスターから銃を抜き、銃口を幻姫に向けた。
 引き金を絞れば、銃弾は発射される。

「何よ。そんな玩具で、この私をどうにかするつもり?」
「玩具じゃないわ。こいつはSIG P229って言って、40口径の銃弾を発射する拳銃よ。しかも、この40口径の銃弾は、9ミリパラベラムの貫通力と45口径の阻止力を兼ね備えているの。

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