勾玉キッス☆ 72
光が私と裕美さんを包み込み、その光は一気に裕美さんの体に入っていった。
途端に、目をつぶっていた裕美さんが苦しい表情を浮かべる。
裕美さんでは無理があったということなの?
私は裕美さんのことを考え、術式を中断しようとした。その時、裕美さんは首を横に振り、中断しようとした私を制止した。
「…私は…大丈夫だから。お願い、続けて」
私は裕美さんの決意に押し切られた気がした。私はそのまま、術式を続ける。
裕美さんの体に吸い込まれていた光がさらに加速して、裕美さんの体に全て吸い込まれるまで、それはあっという間だった………
まばゆい光が消えて、辺りはいつもの風景に戻った。少し間をおいて、私は裕美さんに声をかけた。
「……どう、裕美さん。目、開けられる?」
* * *
がこんっ!
自動販売機の取出し口に出て来た缶入り紅茶が、先に出ていた缶コーヒーにぶつかった。
俺――森崎 晶(もりさき あきら)――は、取出し口から缶入り紅茶と缶コーヒーを取り出すと、教室に向かい歩き出した。
穏やかな昼休み。
俺はふと、校舎を見上げた。いつものように、屋上を囲んでいる緑色のフェンスが………見えなかった。
まるで屋上だけ、霧に包まれているかのように、何も見えない。
今日は霧が出ているのか? そう思って、俺は空を見上げ、辺りを見回した。
霧が出ているどころか、文句なしの晴れ空が広がっている。
その光景に、俺は心当たりがあった。それはつまり………
「……しまった! あれが本命かっ!」
紅茶とコーヒーの缶を制服のポケットに入れ、俺は校舎の屋上を目指して走り出した。その勢いのまま、校舎の昇降口を抜け、屋上につながる階段をかけ上がる。
屋上までもう少しとなったその時、突如現れたまぶしい光に、俺はなす術もなく飲み込まれた………
* * *
「ねぇ、桐生クン。脚を、広げてくれる?」
桐生クンの目を見つめながら、私――妖将鬼 幻姫――は言った。桐生クンは何も答えてくれない。
「いやなの? …それもそうよね。桐生クンは男の子だもんね。でもね、桐生クン。男の子が女の子の快感を味わうなんて、絶対にないのよ。女の子の快感を存分に味わうっていうのも、悪くないわよ。むしろ、くせになるかも。こんなチャンス、逃したら損よ」
私がそう言うと、桐生クンはゆっくりと脚を広げた。見とれてしまう程に綺麗な、桐生クンのおま○こが見える。