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勾玉キッス☆
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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勾玉キッス☆ 64

まぁ、私が同性だからしょうがないけど。

「これは一体どう言う事?あなたは誰?」

空中に止まったままの彼女は、少し曇った表情になりながらも
すぐに答えてくれた。

「私はミヤビ。もう1人の雅章君……なの」

「ええ!?」

私は心の中で、思わず声を上げてしまった。

「驚くのも無理ないわ。私と雅章君は同じ魂の持ち主。本来、封印の巫女としての
力は彼の方が上だけどね」

「同じ魂って…」

「うん、元々ひとつだったの。魔物の呪いによってふたつになったけどね」
「……」

にわかには信じられなかった。
この後ミヤビは、雅章との関係を私に話してくれた。
雅章の前世が封印の巫女である事も。

ここまで言われると目の前の事実は受け入れるべきよね。
説明を終えると、空中にいたミヤビはゆっくりと降りてきた。
ふわりと長い髪を浮かせながら私の前に立つ。
近くで見ると女の子の雅章とクリソツ。
顔が同じとは言え、雰囲気は別人だ。

「それで、あなたは何故私の前に……」
「裕美さんに頼みたい事があるの」
「私に頼み?」
「雅章君を守って欲しいのよ」
「わ、私が?」
「そう。幼馴染のあなたなら大丈夫よ。私が巫女としての力を貴方に与えるから」
「それなら貴方と雅章が一緒になれば…」

ミヤビは首を横に振る。

「それは無理よ。1度離れた魂は、なかなか元に戻れないの。前に紛い物の体を作ったけど
魔の者達には通じなかったわ。封印の巫女としての本来の力を発揮するには、雅章君自身が
目覚めればいいんだけど……。お願い、裕美さん。この役目を引き受けて欲しいのよ」

「私が雅章を……」

確かに今の雅章は、魔物には無力だ。
私が、彼を守る事が出来れば……
「雅章君は、魔物に狙われているわ。奴等は彼の…オンナとしての純粋な魂と体を欲しているの。
もし雅章君が自らオトコを求めるようになれば……」

ミヤビの言葉が途切れる。
そして、低くゆっくりと……

「恐ろしい魔物…ううん、魔獣が甦るわ」

その言葉を聞いた時、私の心に不安が広がった。
そう、あの時見た夢のように。ドクンっと胸にある痣が疼く。
私は苦しくなってその場に蹲った。

「ゆ、裕美さん、大丈夫?」
「ご、ごめん。ちょっと苦しくなって……」

この後、ミヤビが背中を擦ってくれたお陰で、少し楽になった。
私は少し足元をふらつきながら立ちあがる。

「本当に大丈夫?保健室に行った方が……」
「ううん、大丈夫。大した事がないから」
「でも…」
「本当に大丈夫だから。それよりもさっきの事を……」
「……わかったわ、悠美さん。じゃぁ目を瞑ってくれる?」

私は頷くとそっと目を閉じた。




「遅いな…悠美のやつ」

まったく。缶ジュース買うのにどれくらい時間が経っているんだよ。
昼休みが終わっちまうだろうが。

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