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勾玉キッス☆
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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勾玉キッス☆ 54

「うむ。賢明じゃな。いつまでかかるかわからんしな。」
じーさんは腕を組みながらうんうんと頷いている。
「はぁ…やっぱ俺、女の子として学校に行くのかよ…」
がっくりと肩を降ろす俺に麗華姉ぇは…
「まぁまぁ。雅ちゃん、そう言わないの。女の子だって楽しい事がいっぱいあるし、私は嬉しいなぁ」
とにこにこしながら言ってくる。
…はぁ。なんてお気楽な…
「はぁ…」
「もぉ雅ちゃんったら。ちょっと気分転換した方がいいわね」
「う、うむ。雅章、庭でも見てくるがいい。わしは、麗華と話があるのでな」
妙に急がせるなぁ。んっ?じーさん、何か顔が赤いけど、気のせいか?
「でもさぁ…」
「ほらほら。さっさと行きなさい」
「わわ…!!」

結局、俺は麗華姉ぇやじーさんに急かされる形で庭に出てみた。

「うーん…」

思いっきり背筋を伸ばす。頬に掛かる風が気持ちいい。
悶々とした気分だけど、天気も良いし、俺は庭園内を歩く事にした。
学校のグランドより広い日本庭園。大きなヒョウタン池もあり、透き通った水の中では
多くの鯉が泳いでいる。俺はその脇にある歩道を歩いてみた。

「そう言えば、ここを歩くのは久しぶりだよな」

ガキの頃は、訳もわからず走り回っていたけど――
こうして見ると、立派な庭だよな。

しばらく歩いていると、急に強い風が起こる。

「きゃぁああ」

スカートが捲くり上がりそうになったので、思わず両手で押さえる。
気が付いたら俺は、ぺたんと女の子座りをしていた。
しっかしなんて声上げてんだよ!!
女みたいに…って、とほほ。
俺、ますます女に流されていくような気がするよ……

しばらくその場にいると、突然誰かの声が辺りに響いた。
「雅章君!」
女の子の声だ。
聞き覚えの無い声に振り返る。
見ると、池の向こう側に例えようもないくらい綺麗な女の子が立っていた。
その少女は、俺と同じくらいの背で、身に付けているのは純白の巫女装束。
長い髪を後ろに束ねてはいるが、その姿は…

「…え!?」
「うふ♪」

一瞬目線を逸らした隙に、その少女は俺の近くに来ていた。い、いつのまに…
「だ、誰だよ君は――」
「はじめまして、雅章君。私はミヤビ……」
そう言った少女は、俺を覗き込むようにして見ている。吸い込まれそうな黒い瞳で。
ぼーとした俺は、ぽつりと言っていた。

「ミヤビ……」

俺が麗華姉ぇに言われているのと同じじゃないか。
あれ?よく見るとこの娘、今の俺に似ているような……。

「くすっ。思った通り、雅章君ってとっても綺麗なのね。私よりもずっと素敵よ」

そして―わけもわからずその場に居た俺に、少女はそっとキスをした。
「うっ……」
重なる唇と唇。そして女の子からの甘い香り。
柔らかい。……触れたとたんに、とろけるように甘い味がする。

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