勾玉キッス☆ 41
ドーナツ屋を出た俺達は、すぐ近くのバス停に向った。
遊園地はここからバスに乗って4つくらいの所だ。
「ふぇ…結構混んでいるなぁ」
休日なのか、家族連れやらカップルなどでけっこう人が多い。
遊園地行きのバス停では、長い列を作っていた。
俺と裕美が後ろに並んでいると、近くの女の子達がひそひそと内緒話を始めていた。
中には恍惚した表情で俺を見ている子もいる。
繁華街に着いた時といい、女になった俺は結構目立つみたいだ。
とか何とか思っているうちにバスは遊園地の前に到着した。
「ねぇ雅、遊園地といったらやっぱジェットコースターだよね?」
「えっ!いきなりかよ…まぁ別に良いけどさ」
「それじゃ決まりね!」
裕美そう言うと俺の腕をとってジェットコースターの所へ向かった。
ちなみにこの遊園地のジェットコースターは二つあり、
一つはクラシカルな普通のジェットコースターで、もう一つはいきなり高速発進して3回転も行う代物である。
勿論、裕美と並んだのは後者であるのは言うまでもない。
そして後者のジェットコースターを二回、更に前者のジェットコースターも一回乗った。
「うっ…目がクラクラする…」
どうやら今の俺はジェットコースターにそうとう弱いらしい…
「もう雅ったらだらしないぞ!あんなコースターで参っていたら、よ〇〇りランドや富〇急ハイランドのコースターなんて乗れないぞ」
「…ちっきしょう…男に戻れば…こんなの…」
「あら男に戻ったらもっと弱かったりして?」
「うっ…」
などと語っているうちに目の前には大観覧車が見えてきた。
「あっ。ねぇ雅ぃ、次はあれに乗らない?」
「あ…あれか…」
ここの観覧車はかなり大きく、夕暮れ時から日没までの間、カップル等に結構人気がある。
まぁ今は昼過ぎで、ちと早い気がするが…
「そうだな。いいよ」
「じゃ決まりぃ〜!さっそく・・・ねっ」
裕美が俺の手を引いていく。
空は何処までも青く、爽やかな風が吹いていた。
俺と裕美は、入り口でチケットを買うと観覧車の列に並ぶ。
今の時間、そんなに混んではいないので、すぐに順番が来た。
俺達はゴンドラに向かい合って乗り込む。
「おいおい裕美、何だかワクワクするよな」
「あはっ。雅ったら…もぉ〜♪」
係員の手によって扉が閉められるとゴンドラは直ぐに動き出した。
高度を徐々に上げていくゴンドラ。地上がどんどん遠くなり、窓の外には青い世界が覆う。
嬉しかったのか、俺は空高く上がることに気持ちがはしゃいでいた。
「ねぇ雅。小さい時の事を覚えてる?」
「ん?…なんだよ、いきなり」
「前に…ここの遊園地に来た時だよ」
「ああ…そう言えば…」
俺達がまだ小さいガキだった頃、親父とお袋に連れられてここの遊園地に来ていた事があった。