PiPi's World 投稿小説

勾玉キッス☆
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

の最初へ
 38
 40
の最後へ

勾玉キッス☆ 40

「何…誠っち」
「もし良かったらで良いのだが…私も一緒にいて宜しいかな?」

俺は不味いと思った。
一緒に付いて居られると正体がバレるし…
かと言って断れば断ったで下手に感づかれる可能性もあるし…
ふっと裕美を見ると裕美も俺を見て“どうにかしてよ”と言う表情をしている。
俺が頭を抱え思案していると突然違う所から大きな声が聞こえてきたのだ。

「誠おぼっちゃま!!此処に居りましたのですか!!」
「げっ!セバスチャン!」
「誠おぼっちゃま!さぁ早くお戻りあそばせ!」

高級車に乗っていた初老の男性セバスチャンが声を掛ける。
その姿を見て今度は誠の方が慌ててしまう。
そして急ぐように

「すまん裕美ちゃん!私はこれで失礼する!雅章に宜しくと伝えといてくれ!」
「誠おぼっちゃま!待ちなされ!」

誠は俺達にそう告げるとセバスチャンから走るように逃げていった。

「何か騒々しかったな誠もセバスチャンも」
「そうね…それより早くドーナツ屋に入ろうよ」

そう裕美が言うと俺達はドーナツ屋の中へと入って行った。


「んんっ……ピチャ…ピチャ…」

窓側の席に座って、ドーナッツと一緒に大好きなソフトクリームを美味しそうに嘗めていると
俺の口元を、道行く男達が目を見開いて覗いていく。

同じ男だから何を想像しながら見ているなんて、すぐにわかる。
男どもの頭の中で、俺を厭らしい要求に答え慰みものなっているんだろうな。

そう言えば、この店に入ってからどうも注目されているみたいだ。

注文している時だって、応対した店員は俺の事をジロジロ見ていたし、今だって周りからの視線を感じる。つい悪戯心が頭をもたげてくるものだ。
俺はカップから溶けて垂れるソフトクリームを舌で掬い上げるようにして舐め取り、持つ手に落ちたクリームをピチャピチャと舌を細い指に絡めて嘗めていた。
その仕草が厭らしかったのか、見ていた男どもがポカンと口を開けている。

「もぉ、雅ったら汚いわよ。手を拭きなさい」

ドーナッツを食べていた裕美が言う。まぁ確かに変だよな。
俺はポケットからハンカチを取り出すと、クリームを拭き取りながら手を拭いた。
拭きおわると、食べかけのドーナッツを置いて裕美が話し掛けてきた。
「ねぇ雅、これから遊園地に行かない?」
「ゆ、遊園地ぃいい?」

さり気なく答えるつもりが、つい女の高い声が出てしまった。店内に居た客が一斉に振り向く。

「ちょ、ちょっと大袈裟ねぇ」
「あ、あはは・・すまねぇ」

頭を掻きながら、顔を赤くする俺。うう…恥ずかしい。
…遊園地かぁ。そう言えば、ガキの頃から行ってないもんな。あは。確か…観覧車で…

「そ、そうだな…うん、俺も久しぶりに行ってみたいしな」
「じゃぁオッケーって事ね。雅、食べたらすぐ行こうね」

裕美のやつ、何だか嬉しそうだな。
まぁ俺もだけどな。

SNSでこの小説を紹介

性転換/フタナリの他のリレー小説

こちらから小説を探す