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勾玉キッス☆
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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勾玉キッス☆ 39

だが裕樹は頭を上げると

「あ…あの…雅兄ぃ…そ…それじゃ!」

とまるで逃げる様に俺から走り去って行った。
すぐに頭を上げた俺は裕樹の後ろ姿を見つめていた。

「何か裕樹には悪い事しちゃったかな」


「二人に悪い事しちゃったわね…でも何時かはバレるんだからこれで良かったんじゃないの」
「もうお母さんたら、それよりお母さんは早く家に戻って裕樹を慰めてよ!私は雅を見てるから」
「いや〜ん私が雅章くんを…」
「ダメ!」
「分かったわよ…」

どうやら俺と裕樹を慰めようと裕美は近付き清美さんは家へと戻った様だ。
そして裕美が俺に近付くと

「ねぇ雅、これから食べに行かない?…この近くに美味しいドーナツ屋が出来たんだってそこに行こ」
「あっ…まぁ良いけど」
「なら決まり!」
「決まりって…お…おい!」

裕美は俺の腕を取り引きずる様にそのドーナツ屋に連れて行った。


最近、口溶けの良さで人気が上がっているドーナツ屋に到着した俺と裕美は店に入ろうとすると…
また面倒な奴が座ってドーナツを頬ばっていた。
学校の制服で、片方の手には文庫本を持ち、ドーナツを食べながら読書をしている。
腰には、学校で見覚えのある刀を身に付けている男…

「ちょっと雅、あれって誠っちじゃないの?」

「あちゃーやばい」

裕美に言われ、思わず動揺してしまった。
こんな所で誠に会うなんて…
そういえば、さっきのメールで『セバスチャンから逃げてきた』と言っていたっけ。

俺は裕美にそっと耳打ちをした。
『ゆ、裕美、この店に入るのをやめようぜ。女の姿で誠に会うなんてやだよ』
『そうは言ってもねぇ。あら、誠っちはこっちに気が付いたみたいだよ』

見るとカウンター席に座っていた誠が立ち上がり、手を振ってこちら来るではないか。
それはもう満面な笑みで。

「なんだなんだ。誰かと思えば、裕美ちゃんじゃないか。今日は女の子とデートなのかい?」
「あ、う、うん。…まぁね」

誠が近くに来ると、俺は裕美の影に隠れていた。
こんな姿を奴に見られるのが恥ずかしかったからだ。
それに…誠のことだ。この状況だと…

「ところで裕美ちゃん」
「な…何よ誠っち」
「雅章は知らぬか?」
「えっ…雅章〜ぃ!」
「あぁメールで遊びに誘ったら『今日は裕美と用事があるんで行けない』と言う返事が返って来たんだが…」

誠はそう言って携帯の画面を俺達に翳して俺が返信したメールを見せる。
そんなメールを見て俺達は慌ててしまった。

『どうすんのよ雅!』
『どうするったって“裕美に用事”は事実だし』
『だからって…』

俺と裕美が小声で相談していたら誠が割り込むように話し掛けてきた。

「あの済まぬが…」

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