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勾玉キッス☆
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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勾玉キッス☆ 34

そして裕樹が顔を上げると

「あっ…あの…姉ちゃん…隣の人は誰?」
「えっ、この娘はみや…」

俺は裕美が正体を言おうとしているので肘で裕美をつっついた。
一応裕樹は俺の事を慕っているので出来るだけ黙って欲しかったのだ。
「あっ。う、うん。あのね、祐樹。この娘は、道場仲間の雅って言うの。…ね?雅。」

裕美が俺の方を向いて言う。
俺は咄嗟に、裕樹にお辞儀をした。いつも会っているやつなのに、頭を下げるのは変な気分だけど、今はこうするしかない。

「み、雅です。ゆ…じゃなかった、裕樹君ですか。は、はじめまして。」
「あっ…はい。弟の…ゆ、裕樹です。雅さん、はじめまして」

しどろもどろに答える裕樹。ぼっーと頬を赤くして俺の方を見ている。
うっ、確かに恥ずかしい。女の子の姿で挨拶するのも相手が裕樹だってことも。
そんなに見つめられると何だかなぁ。

――― ドクン。

「……!?」

な、なに?今の…

「雅、どうしたの?」

裕美が話し掛ける。
何だろう…この胸に込み上げるような感じは。
裕樹に見つめられたから?
さっきからとくんとくんと心臓の音が聞える。

「う、うん…な、何でもないよ」

こっちまで頬が熱くなってくる。
ば、ばか。お、俺・・・何やってるんだよ。
気持ちが焦った俺は、裕樹の方を見る。
そういえばあいつ、さっきからモジモジしているな。
何だか不思議な感覚になるよ。

「ね、ねぇ。…ゆ、あ、天野…さん。急がないと…」

俺は裕美を肘でつっつく。
これ以上ここに居ては、俺の正体が裕樹にわかってしまうかもしれないし
その…なぁ。お、おい、何だよ裕美。…その目は。

「ふーん。雅ってさっきから変なんだけど…もしかして…」
「ち、ちがうったら。そ、それじゃ、裕樹君。また…ね」

慌てた俺は、ぼーっと立っている裕樹を置いて玄関のドアを開けた。

「あっ…み…雅さん!あの…」

裕樹は何か言いたげだったが俺は裕美を連れて出て行ったのだ。

「せめてフルネームを聞きたかったんだが……それにしても綺麗な人だったな…」



俺と裕美は慌てて出たので何処へ行くのかは決めて無かった。

「ねぇ雅ぃ、これから何処へ行こうか?」
「そうだな…取り敢えず公園にでも行って考えようか」
「そうだね」

俺と裕美はそう決めると近くの公園“国府貝塚公園”へと向かった。
この公園は縄文時代の史跡を公園化したもので俺と裕美も小さい頃はよく此処で遊んでいたものだ。

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