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勾玉キッス☆
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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勾玉キッス☆ 4

放課後。
 俺は廊下を駆け足で進み、遅くなった、遅くなったと連発しながらもバッグを引っ掛け、猛ダッシュで道場を目指していた。帰り際に下らない事で、担任の先公に呼び出されてしまったからだ。
「はぁ、裕美のやつ、怒っているだろうな」
 夕日の射し込む学校の敷地を大きく横切り、裏手にあるサークル棟へ向う。
 その横に、ちょっと寂れた雰囲気の一画がある。そこに俺の目指す道場がある。
 来るともう何十年か前に建てられたかわからない古い建物の入り口の前に立つ。周りは、所々朽ち果て、ドアにはサビが目立っていた。
「ふぅ…どうするべ」

 約束の時間をとうに過ぎている。俺は、彼女に怒られる姿を想像しつつドアノブを回して中に入ろうとした。その時、


―― ミツケタ


「…え!?」

また、あの声だ。低く、そして地を這うような暗い声。


―― オマエヲマッテイタ

今度もはっきりとわかる。耳のすぐ側から言っているように。
「誰だ?俺に何の用かよ!」


―― 来ルガイイ、スグソコダ。


俺は声に導かれるまま、近くの雑木林に入っていった。
じゃりじゃりと靴を踏むたびに、小枝が折れる。

「…マジかよ。こんな所あったのか?」

雑木林が、いつの間にか霧の掛かった、うっそうとした森へと変わっていく。
そう、まるでどこかの世界に導かれるように。

「俺、夢でも見ているのか?」

学校の裏手ってこんなに広い場所があったけ?
不意に、辺りが暗くなる。空を見上げれば、白い霧のせいで、鈍く光る満月が穂のかに赤みを差していた。赤い満月の光が俺を照らす。

そう言えば、幼い頃、俺の祖母がよく言っていたっけ。


―― 満月が赤く染まる時、良からぬ事が起きる ――


・・・ズキ!!

「……クッ…」

咄嗟に胸を抑える。何だ…今の痛みは?
針に刺さったような鋭い痛み。
俺は胸を抑えながら、しばらく歩いていくと、ふいに何かがうっすらと光っているのを見つけた。
こんな場所に照明などあるはずもなく、俺は首をかしげた。

「な、なに?何だよ、あれは。」

 疑問に思って近づいてみると何かを祭っている祠のだろうか。注連縄が厳重に巻かれた岩があり、それがどういう原理かは知らないが、怪しげに光っていたのだ。
「これって、普通の岩だよ…な?」
よく見れば、表面には苔が生えていて、かなりの年月を経たのがわかる。

「しかし…どうやって光ってるんだ・・・何かのトリックかな?」

光は中心に貼ってある薄汚い札から発光しており、その札にはごちゃごちゃと古い文字が書かれていた。

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