勾玉キッス☆ 26
「雅…ちゃん?」
ハッと我に帰る。どうやら俺は、鏡の前でほうけていたらしい。
麗華姉ぇが俺の肩に手をやっている。
「…れ、麗華姉ぇ。い、今、目の前に巫女さんがいたんだけど…」
「巫女さん?やだ、雅ちゃんったら。巫女さんはあなたでしょ?」
目の前の鏡に映っているのは、巫女装束の俺。
たしかにそうだ…でも…
隣に居た裕美も不思議そうな表情で俺を見ている。
2人とも見えてない?じゃぁ今のは夢?
ジャラ…
首に違和感がする。鏡を見ると、いつの間にか首飾りがしてあった。
―― 7つの御霊が宿る虹色の勾玉。
この時の俺は、それが重要なアイテムだとは知らなかったのだ。
『な、何だ!この首飾りは…裕美と麗華姉ぇに着付けられた時は無かったぞ?』
俺は首飾りに手をかけ考えていると裕美が首飾りを見つめ羨ましそうに言う。
「うわぁ…綺麗な石…雅ちゃんがまるで飛鳥時代の高貴な人みたい…ねぇ、私にも着けさせて良いかな?」
「まぁ…良いんじゃねぇ……あっ、あれ〜ぇ首飾りが外せない!」
俺は首飾りを裕美に着けさせようと首飾りを外そうとしたが留め具が無く外せない。
麗華姉ぇは俺の動きを見て声を掛けてくる。
「あら、どうしたの?」
「あっ、麗華姉ぇ…この首飾り外してくれないかな?」
「あれ〜ぇ、そんな首飾り着けた覚えは無いんだけど…取り敢えず見せて」
俺は麗華姉ぇに背中を見せて首飾りを見せる。
そして麗華姉ぇは外そうと留め具を探すが見つからず慌ててしまってた。
「う〜ん、手じゃ切れないか…留め具も無きゃこれじゃ外せないなぁ…」
「麗華姉ぇ…どうするんだよっ…」
「しょうがない…ペンチで切るからちょっと待ってて」
麗華姉ぇはペンチを取りに一旦部屋を出る。
俺と裕美は二人で部屋に呆けていると裕美がまた首飾りの事を聞いてきた。
「ねぇ…取り敢えずこの綺麗な石だけでも触れても良いかな?」
「良いんじゃねぇの」
俺は素直に答えると裕美は首飾りの七つの石を触った。
その時…
「きゃぁ!」
裕美が七つの石を触れた瞬間、突然声をあげて倒れ気絶してしまった。
「おい裕美!起きろ!」
俺はとっさに目を覚ませ様と裕美を揺する。
だが同時に裕美が気絶した時の出来事を考えていた。
その瞬間七つの石が鈍く光り、その光が一つに集まり心臓に撃ち抜く様に裕美の中に入っていったのだ。