勾玉キッス☆ 13
「ありがとうございます麗華さん」
「御礼なんて良いから…あっ店長、後雅ちゃんの事なんですけれども…」
麗華姉ぇは直ぐ様話題を俺の方に振る。
「あの…男性の服を着た娘ですか?」
「えぇ…この娘のサイズを測ってくれませんでしょうか?何せ急にサイズが変わっちゃってノーブラ男物の下着で学校へ行ったものだから…」
確かに急に変わっちゃたからな…性別毎…
「分かりました、如月様とあって特別試着室をご用意しておりますので、どうぞ」
俺と裕美それに麗華姉ぇは店長の誘導で特別試着室へと向かった。
特別試着室は、店の奥にある。
普通は1人用なのに、何故か室内に2、3人が入れるスペースには驚いた。あっけに取られている俺の横では、
「お客さま。さぁさぁ、鏡の前に立ってくださいな」
と、店長は目を輝かせながら、サイズを測ろうとメジャーを持っている。何故か目元は緩みっぱなしだし、ちょっと怖いんですけど・・・
「あ、俺・・・ちょ、ちょっと…気分が…」
「さっさと行きなさい。店長さんを困らせちゃ悪いでしょ?」
エスケープしようとした俺を、裕美が後ろからがっしりと捕まえてしまった。横目で見れば、裕美まで期待のこもった表情をしている。
「雅ちゃーん、サイズ測ったらこれを着ましょうね♪」
…麗華姉ぇはと言うと、あれこれとその辺から持ってきた下着を抱えているじゃないか!
フリルやら、シルクのショーツやら…げっ!黒のガーターもあるじゃん。
うへっ、やめてくれ。そんな下着、俺は着れないって!
「では、お客様。カーテンを閉めますよ〜♪」
「あうう…」
無情にも試着室のカーテンが閉じられ、鏡の前に立った俺は、早速着ていた制服を店長に脱がされてしまう。勢いよく飛び出してブルルンと暴れ動くバストを、俺は両手で抑えていた。
「お客様。手をどけてくれませんと、正確に測れませんよ」
「はぁ…」
このまま胸を晒すのは、正直恥ずかしい。カーテンの向こうでは、裕美と麗華姉ぇが聞き耳を立てている。
くそ、なんでこなるわけ?
そう俺が落ち込んでいると店長が囁く。
「お客様、もっと自分の身体に自信を持って下さいな。ちゃんとした下着を着ければもっと綺麗になれますよ」
『俺だって好き好んでこんな身体になったんじゃない!』
俺はこう思ったが、やっぱ誉められるのは嬉しい。
それに、いつ男に戻れるか分からない状況ではノーブラ・トランクスでは変態扱いされかねない。
ここは素直に従って女性物の下着を着ける事にして店長の言う事に従い胸から両手を離した。
その瞬間、俺は鏡に写った自分の裸体を見てしまった。