勾玉キッス☆ 12
「雅ちゃんかわい〜い!こんなに可愛くなっちゃって、お姉ちゃんは嬉しい!」
麗華姉ぇが大きな声ではしゃぐ姿に俺と裕美は唖然とする。
「あの…麗華姉ぇ…」
「麗華さん…」
俺と裕美が声をかけると麗華姉ぇが不気味な笑みを浮かべて言った。
「さっさあ…二人共、車に乗った乗った!」
「あの…麗華姉ぇ…俺達を何処へ連れて行くんだい?」
「何言ってるのよ、雅ちゃんがこんなに可愛い娘になったんだからお祝いに買い物連れてってあげるわ」
麗華姉ぇがそう言うと俺と裕美を車に押し入れて発進させたのだった。
車を走らせてから十数分後…
少し離れたアウトレットモールに到着した。
麗華姉ぇは俺と裕美を連れて中へと入って行った。
「れ…麗華…姉ぇ…こ…此処は…」
「何処って、ランジェリーショップに決まってるじゃない」
「だ・か・ら、何で俺がランジェリーショップに行かなきゃならんのだ!」
「あのねぇ、女の子になったからには身だしなみを大切にしなきゃ、それにはまず下着からでしょ…それに女がノーブラ・トランクスじゃね…」
麗華姉ぇは尚も戸惑う俺に堂々と言い裕美も麗華姉ぇの言葉に頷いていた。
「うーーー。」
確かに今のままでは、バストが揺れて邪魔だし、トランクスだって腰周りが細くなった事でブカブカだ。
「やっぱやだよ。俺は男だし、女の下着なんか着れるわけが…」
と、言葉が詰まる。ふふっと顎に手をやりながら、何故か麗華姉ぇの目が怖い。「私に逆らったら許さないわよ」と無言の声が聞える。
裕美は隣で溜息を付きながら…俺の肩に手を置く。
「雅章、麗華さんが、ああ言っているわけだし、諦めてお店に入りましょ」
「そ、そんなぁ…」
がっくりと肩を降ろす。裕美は、まぁまぁと背中を叩いてくれるが…お前、何だか変だぞ。目が笑ってないか?
2人に押されながら、俺はしぶしぶランジェリーショップに入る事になった。
「「いらっしゃいませーー」」
店員の明るい声に出迎えられた俺は、店内を見回す。
店内は白を基調とした落ち着いた雰囲気だし、奥には白やピンク色の下着が並べられているコーナーがあって、つい目が行ってしまう。確かに男では、立ち入る事の出来ない魅惑の地とも言えるかもしれない。
「何、デレッとしてるのよ…」
「本当、下着見ただけで…雅ちゃんもムッツリスケベなんだから」
顔に出てたのか裕美と麗華姉ぇにツッコまれる俺。
だが反論しょうとした時、店長らしい女性の人が現れた。
「いらっしゃいませ如月様、本日はどの様な御用でしょうか?」
どうやら麗華姉ぇは此処の常連の様だ。
「うん今日はこの娘達の下着を買いに来たのよ」
「え〜っ、私も良いのですか?」
「勿論よ、ただ付いて来ただけじゃつまらないでしょ」
麗華姉ぇが裕美の分も買ってくれるとあって裕美は驚きを隠せなった。